第7話

文字数 1,223文字

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はるちゃんは、夢を見ていました。

真っ黒に日に焼けた、お父さんとお母さんと一緒にピクニック用のカゴを持って砂漠を歩いています。
こんなに暑いのに はるちゃんだけが日に焼けていません。白いままです。
後ろにはラクダが口をモグモグしながらついてきます。
3人とも暑くて暑くて喉がカラカラです。
お母さんがカゴからレモンジュースを出し、
お父さんさんはビールを出し、
はるちゃんは瓶に入った冷たいミルクを出しました。
3人共、砂漠の真ん中で腰に手を当てて、ゴクゴク美味しそうに飲みほしました。
プハッ!うまい!さぁまた歩くぞ!
「お父さん、いったい何処へいくの?暑いし
もう疲れちゃった」
「はるちゃん、あそこの森に虹の花があるから 皆んなで見にいくんだよ」
お父さんが指差した先には、いつの間にか森がありました。
「見たい、見たい、お母さんに何度も読んで貰った虹の花、見たい見たい」
「じゃあ、出発だ!」
「ちょっと待って!たくさん汗をかいたから、
もう少し何か飲んでいきましょう」
お母さんに言われて、大好きなりんごジュースをストローで吸いはじめたのですが、何故かパックからジュースが出てきません。 
はるちゃんがパックを指で押すと、
冷たいシェイクになってストローから少し出て来ました。
シェイクだ!大好き!
チューチューチュー、はるちゃんは賢明に 
ストローでシェイクを吸っています。
チューチューチューチューチューチューチュー

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ベッドで寝ている、はるちゃんの口がとんがっています。
お母さんも、看護師さんも はるちゃんの口を見て不思議そうに顔を見合わせていました。
どうしたのかしら?何か言いたいのかしら?
その時です!
はるちゃんが とがらせた口をめがけて、 
空から小さな小さな雪だるまが猛スピードで飛び込んできました。
はるちゃんの口に小さな雪だるまが、スポッと入り、ごっくんと飲み込まれたのです。
一瞬の出来事だったので、誰もきづきませんでした。
小さな雪だるまの正体はもちろん小さな雲です。

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はるちゃんが砂漠でりんごシェイクを吸っていると、ストローが急に膨らんできて、
小さな雪だるまが飛び出してきました。
その雪だるまは、はるちゃんの前でどんどん大きくなり、はるちゃんの背を追い越しました。
わぁ 雪だるまだ!
その雪だるまの背中には、キラキラ光る金の粒が
2つ埋め込まれています。
はるちゃんは、雪だるまに抱きつきました。
冷たくてとっても気持ちがいい。
はるちゃんが、抱きついていつまでも離れないので雪だるまはどんどん溶けていきました。
あっ 溶けちゃう、待って、溶けないでー
お父さんとお母さんに、雪だるまを見せてあげなくちゃ。
お父さんー お母さんーーーーー
いつの間にかお父さんもお母さんもいなくなっていました。
後ろからついて来たラクダもいません。
砂漠もなくなっています。
あんなに暑かったはずなのに、
はるちゃんはもう暑くありませんでした。
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