第10話 人は出会いを求めてビーチに集う
文字数 1,934文字
アジトの情報収集をルッツに任せて、海にやってきた私たち。
ビーチにはたくさんの海水浴客がいる。マンデル共和国には有名なビーチがいくつもあり、他国からバカンスに来る旅行者は多い。
ビーチには、見渡す限りゴミ一つない白い砂浜が広がっている。透き通るような海は透明度が高く、泳いでいる魚がビーチから見えた。
「一度は訪れてみたいビーチリゾート」と言われるのも納得できる。
ビーチを歩いている男性の水着はほとんど同じなのだが、女性の水着はいろいろだ。中には見たこともない水着を着ている女性もいる。きっと、私が知らない文化圏からの観光客なのだろう。
ビーチではしゃぐ観光客を見ていると、マンデル共和国でスリが多いのが頷ける。観光客は綺麗な景色の中で羽を伸ばしている最中だ。みんな油断している。
そして、犯罪組織がルッツのような子供を使って稼ぐのだ。
私はロベールを誘ってビーチに繰り出した。ミシェルとエレーヌは暇らしく、私たちについてきた。
私の服装はもちろん水着。パットを2枚入れたビキニだ。
あれから何度か試したのだが、パットを3枚入れると、どうしても本体とパットのカーブに違和感がでる。パット2枚だとほとんど分からない。
きっと、ロベールにも気付かれないはず。
私とロベールの後ろを、ミシェルとエレーヌが歩いている。
歩いていると直ぐにビキニの二人をビーチにいる男たちがナンパしにやってきた。
「ねえ、どこから来たの?」
「いいカフェを知ってるんだけど、一緒にどうかな?」
「いま暇?」
「暇じゃねーよ!」
「うるせぇ!」
「近寄るんじゃねー!」
罵声を浴びせかけるエレーヌとミシェル。一応仕事で来ていることを自覚しているようだ。
感心、感心。そう思ったのも束の間、
「今のはイマイチだったなー」
「あの顔で声掛けてくんなよなー」
「どっかに、いい男いないかなー?」
いや、違うかもしれない……
それにしても、この状況は公爵令嬢としてのプライドを傷つける。
――この私に一言も声を掛けないなんて……
私の美貌が分からないのか?
私は巨乳ビキニの二人に負けているか?
パットを3枚にするべきだったか?
いや、そうじゃない。ロベールが隣にいるからだ。
私が一人で歩いていたらナンパしてくる男たちが山のようにいるだろう。
私は巨乳ビキニの二人に負けるわけにはいかない。
公爵令嬢のプライドに掛けて!
早速私は行動に移すことにした。
「ちょっとお手洗いに行ってくるから、ロベールはここで待っていてくれる?」とロベールに伝えた。ちょっと一人で歩てみる。
ビーチを優雅に歩く私。ヘイズ王国でも1、2を争う美貌の私がビキニ(パット入り)でビーチを歩いているのだ。男たちは我先にやってくるだろう。
少ししたら足音が後ろから聞こえてきた。
――きたーー! 初ナンパだわーー!
ドキドキしながらその瞬間を待つ私。
その足音は私を追い抜き、彼女らしき女性の元へ去っていった。
――けっ、女連れかよ!
気を取り直してビーチを優雅に歩く私。
ナンパしてきそうな男がいないか、私は目を光らせる。
前から二人の男が私の方へ歩いてきた。
――きたーー! 今度こそ!
男たちは私の前に跪くと「マリア様!」と祈り始めた。
――えっ? そっち?
二人の男性が祈っているのを見ていた他の人たちも私の方へやってくる。
男性、女性関係なく私の前に跪き、祈り始めた。
別の観光地で老婆に女性神マリアと間違われたが、ビーチでも同じ状況が起こっている。
しかたなく、私はその場を小走りで去った。
少ししたら足音が後ろから聞こえてきた。
――ほらほらー! 分かってるじゃない!
再びドキドキしながらその瞬間を待つ私。
その足音は私を追い抜いて私を見た後、どこかへ去っていった。
――どーゆーこと?
私の美貌を理解できないのか?
それとも、畏れ多くて声を掛けることができないのか……
私はイライラしながらビーチを歩き続ける。
「お前、声掛けてこいよ!」
「やだよー。怖いよ。身体から炎が出てるし……」
「だよなー。やっぱり彼氏の浮気現場に乗り込むのかな?」
「あー分かる。復讐する相手を探してる感じだな」
「そうそう! あの目は人殺しの目だぞ!」
「やっぱり、やめとこうよー」
「そーだな」
どうやら、私のことらしい。気付かないうちに私の身体は黒い炎に覆われている。
美貌はともかく……雰囲気が最悪らしい。
**
誰も声を掛けてこないだろうから、私は諦めてロベールの元に戻った。
私がロベールと楽しそうに話していたら、男の声が聞こえてきた。
「あの子、可愛くない?」
「すっげーかわいい!」
「チッ、彼氏連れかよー」
きっと、私のことだ。
――女の子は笑顔が一番だな
ビーチにはたくさんの海水浴客がいる。マンデル共和国には有名なビーチがいくつもあり、他国からバカンスに来る旅行者は多い。
ビーチには、見渡す限りゴミ一つない白い砂浜が広がっている。透き通るような海は透明度が高く、泳いでいる魚がビーチから見えた。
「一度は訪れてみたいビーチリゾート」と言われるのも納得できる。
ビーチを歩いている男性の水着はほとんど同じなのだが、女性の水着はいろいろだ。中には見たこともない水着を着ている女性もいる。きっと、私が知らない文化圏からの観光客なのだろう。
ビーチではしゃぐ観光客を見ていると、マンデル共和国でスリが多いのが頷ける。観光客は綺麗な景色の中で羽を伸ばしている最中だ。みんな油断している。
そして、犯罪組織がルッツのような子供を使って稼ぐのだ。
私はロベールを誘ってビーチに繰り出した。ミシェルとエレーヌは暇らしく、私たちについてきた。
私の服装はもちろん水着。パットを2枚入れたビキニだ。
あれから何度か試したのだが、パットを3枚入れると、どうしても本体とパットのカーブに違和感がでる。パット2枚だとほとんど分からない。
きっと、ロベールにも気付かれないはず。
私とロベールの後ろを、ミシェルとエレーヌが歩いている。
歩いていると直ぐにビキニの二人をビーチにいる男たちがナンパしにやってきた。
「ねえ、どこから来たの?」
「いいカフェを知ってるんだけど、一緒にどうかな?」
「いま暇?」
「暇じゃねーよ!」
「うるせぇ!」
「近寄るんじゃねー!」
罵声を浴びせかけるエレーヌとミシェル。一応仕事で来ていることを自覚しているようだ。
感心、感心。そう思ったのも束の間、
「今のはイマイチだったなー」
「あの顔で声掛けてくんなよなー」
「どっかに、いい男いないかなー?」
いや、違うかもしれない……
それにしても、この状況は公爵令嬢としてのプライドを傷つける。
――この私に一言も声を掛けないなんて……
私の美貌が分からないのか?
私は巨乳ビキニの二人に負けているか?
パットを3枚にするべきだったか?
いや、そうじゃない。ロベールが隣にいるからだ。
私が一人で歩いていたらナンパしてくる男たちが山のようにいるだろう。
私は巨乳ビキニの二人に負けるわけにはいかない。
公爵令嬢のプライドに掛けて!
早速私は行動に移すことにした。
「ちょっとお手洗いに行ってくるから、ロベールはここで待っていてくれる?」とロベールに伝えた。ちょっと一人で歩てみる。
ビーチを優雅に歩く私。ヘイズ王国でも1、2を争う美貌の私がビキニ(パット入り)でビーチを歩いているのだ。男たちは我先にやってくるだろう。
少ししたら足音が後ろから聞こえてきた。
――きたーー! 初ナンパだわーー!
ドキドキしながらその瞬間を待つ私。
その足音は私を追い抜き、彼女らしき女性の元へ去っていった。
――けっ、女連れかよ!
気を取り直してビーチを優雅に歩く私。
ナンパしてきそうな男がいないか、私は目を光らせる。
前から二人の男が私の方へ歩いてきた。
――きたーー! 今度こそ!
男たちは私の前に跪くと「マリア様!」と祈り始めた。
――えっ? そっち?
二人の男性が祈っているのを見ていた他の人たちも私の方へやってくる。
男性、女性関係なく私の前に跪き、祈り始めた。
別の観光地で老婆に女性神マリアと間違われたが、ビーチでも同じ状況が起こっている。
しかたなく、私はその場を小走りで去った。
少ししたら足音が後ろから聞こえてきた。
――ほらほらー! 分かってるじゃない!
再びドキドキしながらその瞬間を待つ私。
その足音は私を追い抜いて私を見た後、どこかへ去っていった。
――どーゆーこと?
私の美貌を理解できないのか?
それとも、畏れ多くて声を掛けることができないのか……
私はイライラしながらビーチを歩き続ける。
「お前、声掛けてこいよ!」
「やだよー。怖いよ。身体から炎が出てるし……」
「だよなー。やっぱり彼氏の浮気現場に乗り込むのかな?」
「あー分かる。復讐する相手を探してる感じだな」
「そうそう! あの目は人殺しの目だぞ!」
「やっぱり、やめとこうよー」
「そーだな」
どうやら、私のことらしい。気付かないうちに私の身体は黒い炎に覆われている。
美貌はともかく……雰囲気が最悪らしい。
**
誰も声を掛けてこないだろうから、私は諦めてロベールの元に戻った。
私がロベールと楽しそうに話していたら、男の声が聞こえてきた。
「あの子、可愛くない?」
「すっげーかわいい!」
「チッ、彼氏連れかよー」
きっと、私のことだ。
――女の子は笑顔が一番だな