第8話 修行1

文字数 1,378文字

 「二人の体格に合った作業着も用意したぞ」

 いよいよそれらしくなってきたと胸が高鳴った

 ミハルがそれらしきものを持ってきた

 「ギルは赤、アルは黒、どちらの仕事にもこれを着用してもらう」

 「着替えていい?」

 気持ちが先走っているレッドを察し

 「ああ、構わんよ」

 とボスが言った瞬間、レッドはその場で上着を脱ぎ始めた

 「おいおい、気持ちは分かるが、女の子(アル)の前だぞ」

 慌てて止めに入るボス、それを聞きブラックの方を見ると顔を背けていた

 あ、危ねっと思い、ミハルに着替える場所を教えてもらい、別室で着替えを始めた

 つなぎを着るのは初めてなので少し戸惑ったが、さすがはボス、サイズはピッタリだ!と感心していた

 ボスのところへ戻るとブラックも着替えを終えていた

 「…相変わらずブカブカだな」

 つい口にしたレッドにブラックはキッと睨んだが

 「まぁ、仕事に支障がないのならいいじゃないか」

 と笑顔で止めに入った

 「まずは社会生活に慣れることだ。アルはいつもどおり学校へ通う、ギルもこれから通ってもらうぞ」

 「あ!さっき言ってたの本当だったのかよ…最初から訓練をすると思ってたのに…てか、勉強嫌いだ」

 と膨れている顔を見たボスは

 「訓練はもちろん大事だ、だが基本中の基本を学ばないと困るんだ。『暗殺』だけなら訓練次第でどうにでもなるが、ボディガードという形で潜入することもある、もし仮に相手(ターゲット)の周りで自分より年下の子がいる場合、勉強を教えたり社会的な知識を必要とする場合があるからな」

 これを聞いた瞬間、ブラックの方が合っていると思ったが、心を閉ざしている分難しいだろうな、と感じていた

 「…分かったよ、学校に行って勉強してみる…期待出来ないと思うけど」

 飲み込みの早いレッドにボスは安堵した

 「それだけじゃないぞ、ギル・アル、ここでも出来る範囲のトレーニングをしてもらうぞ」

 「トレーニング?何かマシーンでもあるの?」

 「それもあるのだが、主に実戦でのトレーニングだ。実際、養成所で学ぶ武術は今のお前たちには耐えられるとは思えない。そこで基礎となるものを身につけてもらう必要がある」

 そっか、でも実戦ってどんな風にやるんだ?とレッドは疑問に思った

 「まずはアルはミハルの元、修行をする」

 ブラックは納得し頷いた

 「んでおれは?」

 「お前は執事長が担当する」

 「えーーーーーーーーーっっ」

 レッドは落胆した、もっと若い、強そうな人間がそばで教えてくれると思ったからだ

 「まぁ、組んでみれば分かる」

 普段と同じに見えるボスの笑みだが、レッドには何か企みがあるんじゃないかと疑った






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