Ⅰ『神のゆりかご』

文字数 1,306文字

こんにちは〜
またお前か……
機嫌のいい日はないんですか。
ついさっきまで悪くなかったんだけどな。
またそんなこと言って。はい、お土産のチョコクランチ。
ディズニー、だと……!?
ええ。
お前、ディズニーランド行く相手なんていたんだな。

あ、一人で行ったんですよ。

え?
一人で楽しむ人もいるんですよ。
……で、今日はどんな本を持ってきたんだ?
はい! 本日の商品はこちらです!
戯曲?
「行動十二戯曲」第1弾、『神のゆりかご』です!
あ、前回言ってたアレか。
こちらは第19回池袋演劇祭で「としまテレビ賞」を受賞した戯曲です。
わかってるだろうけど「池袋演劇祭」ってマジで誰も知らないからな。
わかってますよーだ。どうせマイナーなローカルイベントですよーだ。
誰がいじけろっつったよ!
灰皿を投げないで!
受賞をダシに使うのはいいんだよ。どういうイベントなのかちゃんと説明しやがれバカヤロウ。
おっしゃる通りで! えー、池袋演劇祭とは、東京都豊島区で毎年夏に開催されている演劇フェスティバルです。
ふむ。
公募で選ばれた審査員約100人の採点によって順位が決まります。
演劇雑誌の編集長とか有名劇団の主宰者とか、演劇界の権威が審査するわけじゃないんだな。
はい。ごく普通のサラリーマンや学生さんによる審査です。すなわち、池袋演劇祭の受賞作はライト層から支持された作品と言えるわけです。
小説で言えば伊坂幸太郎とか東野圭吾みたいな感じか。
ちょっと大雑把すぎません?(汗) まぁ大間違いではないです、たぶん。
しかし相変わらず表紙いいな。知性を感じるぜ。
でしょー? さすがは山田章博賞の杉浦昭太郎さんですよね。
中身はどうなんだ?
どうって、もちろん自信アリですよ。わりと史実に忠実なガリレオ・ガリレイのお話です。
戯曲って「読み物」なのか?
……
舞台なら俳優が演じてるのを観てりゃいいけど、戯曲は読者が自力で想像しなきゃいけないわけだろ? けっこう大変じゃね?
……
何とか言えやオラァ!
灰皿を投げられても仕方ない!
そうなのかよ!
ぶっちゃけエネルギー使うとは思います。我々のように二人きりの会話ならいざ知らず、戯曲は一場面に何人も出てきますからね。
あたしらにはイラストも付いてるしな。
でも、大変だからこそ想像力が鍛えられる新しい読書体験になるのではと!!
あ、つーか、主なターゲットは演劇関係者か。
それはあります。上演台本をお探しの方にぜひお手に取っていただきたいですね。

でもうちの店、「演劇」のコーナーないぞ。

え?

そうとう大型の書店じゃないと普通ないぞ。

(´・ω・`)
しょうがねぇなわかったよ! わざわざ作ってやるよ!
ありがとうございます!
これ一冊だけじゃ変だから来月も必ず持ってこいよな。
はい!

行動十二戯曲Ⅰ『神のゆりかご』(森山智仁・著)

Kindle版 250円


舞台は16世紀末のイタリア。
かの有名なピサの斜塔での実験の前日、数学教授ガリレオ=ガリレイの邸宅に一人の少女が訪れる。
コメディ要素ありの歴史ヒューマンドラマ。
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第19回池袋演劇祭で「としまテレビ賞」を受賞した戯曲。
主要キャストは男性3名・女性5名、上演時間は推定1時間40分です。

表紙:杉浦昭太郎

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登場人物紹介

営業さん。趣味は旅行。

本屋さん。趣味は蕎麦屋で一人酒。怒ると灰皿を投げる。

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