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文字数 639文字

 さて、俺が行きつけの居酒屋で飲んでいた時、出会った、変わったおじさんの話になるのだが。
 その人は、肩まで伸びた長髪に眼鏡だが。
昔は結構イケメンだったんだろうな、と思える知的な雰囲気がある人だった。
俺の第一印象は、勤めていた会社からリストラされたか、経営していた会社が倒産したのか、そんな感じのする人だった。

 俺は焼き鳥と揚げ出し豆腐で呑んでいた。
枝豆も少し。若い頃と言うか、学生時代は、
兎に角、強い酒を飲むのがステータスで。
つまみなど考えた事など殆ど無かった。
 ちょっと小洒落た洋食店に行っても。連れの女性が美味いと言う物を、ふーんてな感じで、食べていたものだ。

 俺が一人で、しかも古風なツマミで呑んでいるので、おじさんが声を掛けてきた。
かなり酔っていた。
面倒臭いなとは思ったが。最近、人と話す事が無くなった俺は、これも経験かと話を聞いた。聞いて驚いた。この人は何と技術者だった。
 まさか?俺の未来の姿なのか?
タイムスリップして現れた?
そんな事を思ったものだ。その人曰く、

「まったく、世の中は不公平だ。
ずる賢い奴が生き残る。俺の様な世間知らずの開発者には、何の恩恵も無い。
それどころか、クビにしやがった。
あのバカ会社め!若い奴に何が出来るんだ」

 おやじさん相当荒れていた。俺は、

「何て会社です?俺、就職浪人なんで、
そこだけは受けませんから、あはは」

と言うと。超有名企業の名が出てきた。
 俺なんか、試験すら受けさせてもらえないだろう。まあ工場の季節工なら、雇ってもらえるかもな。
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