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文字数 767文字

 実はその仕事も、おじさんの言った会社とは違う他の企業だが、やってみた事がある。
 確かに機械いじりは嫌いではなかったが、
流れ作業で延々と同じ作業と言うのが、
俺には向いていなかった。
どうにも我慢出来ずに、正社員でどうか?
と言われたのに断ったのだ。
まったく俺は、馬鹿な男だよ。
 そこに行けば今頃は、まともな生活が出来ていたのに。
 するとおやじさん、突然ニヤニヤ笑いながらこう言った、

「だから会社に仕返ししてやろうと思ってな。あはは、仕返しだよ。人の発明を馬鹿にした、会社と世の中を見返してやるのさ」

と。俺はヤバイ話かと思って。その日は内容も聞かず、そそくさと食うだけ食って、飲むだけ飲んで帰った。
おやじさんは、まだ飲んでいたようだ。
 それから俺は、部屋で毎日アルバイトに明け暮れた。

 12ある数式を解き。出た答えの数字を、
パソコンからケーブルで繋いだ機械へと入力するのだ。間違えると赤い文字に成り、やり直し。但し、3回間違えると、機会がブロックしてしまうので。それでアルバイトは終了となるので、気を付けろと言われた。

 おかしな機械と通信機を、3人の男が来て設置して、パソコンを置いていったが。
俺がパソコンを売ったりしないと信用するとは、大したもんだ。簡単に人を信じるなんて、とも思ったが。
それ程、危ない連中なのかも知れない。
 何せ闇サイトのアルバイトだから・・・。

 俺は既に9つの数式を解いたが。
一度も赤文字は出ていない。中々優秀だ。
そこでふと考えた。俺の今の生活は、流れ作業だなと。
 毎日、朝から晩までコンビニ、ラーメン屋、定食屋とローテーションで回り。
飯を食い、トイレでたれて。そして風呂に入って、僅かな酒を飲んで寝る。
こんな生活なら、工場の社員になっても構わないのでないか。
 多分俺は、そのうち、そう成るのだろうなと思ってしまった。
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