共鳴振動ノコギリ

文字数 627文字

 それは、俺が行きつけの居酒屋で飲んでいた時の話だ。俺は大学を卒業しても定職にもつかず、アルバイトで飯を食ってる。
所謂、就職浪人だった。
 名前は山本祐人(ヤマモトユウト)25歳。
最早、この不景気、新卒でもなければ中々自分の才能を生かした仕事とはいかない様だ。

 俺は、どちらかと言うと電子工学やパソコンに精通していた。まあ、中の上クラスの能力はあるが。面倒な面接や、コネや伝や更には名前ばかりのIT企業や、コンピューター関係電気機器メーカーで、営業をやるのは憚れ(はばかれ)たのだ。

 俺は、どちらかと言うと開発者に成りたかった。そっちは上が詰まっていて、俺の様な人間は必要無かったようだ。
何にしても落ちこぼれだった。
 だが、この世界、変わったバイトがあるものだ。今、手掛けているのも1種のコンピューター関係だが。何の計算なのか分からないものを、延々とやって機械に入力するものだ。
 ホント何の機械なのやら。

 計算なら電卓でやって、誰でも入力出来るだろうに。だが高等数学を使った計算は中々厄介で、確かに知識の無い者なら、まったく分からない、お話しにならないものだった。
 と、そんな事はさておいて。
俺はバイト料を、前払いで3分の1貰っていたので。そいつで居酒屋で飲んでいたのだ。

 何と!その額10万円。
つまり成功報酬?20万円が後払いで貰えるのだ。総額30万円のバイト。
 しかも、期間は1か月以内ときたから楽なものだ。俺程度の数学の知識があれば、まあ楽な仕事だ。
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