4頁

文字数 651文字

 このバイトが終わったら、真面目に就活でもするかと考えた。
いつまでも実家の親も、騙せたものではない。
営業でも何でもやって、人生の流れ作業を完結させようと考えていた。
夢などは、端っから無かったのだから。
 それに、人恋しさもあった。

 友人と呼べる者も、就職してしまえば疎遠になってしまう。しかも俺は不規則な生活。
あいつらは、判で押したような生活をしているのだ。時間も話も、合う事はないだろう。

 さてと塞ぎ込んできたなと俺は。
久々に居酒屋へと向かった。まだ飲めるだけの金は残っていた。その辺は手堅い男なのだ。
するとそこには、例のおじさんがいた。
完全に忘れていたので、嫌だなと思うよりも、何だか嬉しかった。

 俺が隣に座っても、おじさん元技術者は気が付かなかった。
俺はいつものように、焼き鳥と揚げ出し豆腐や季節の魚等を頼んで、焼きおにぎりで、夕飯の代わりに酒で流し込んでいた。
美味い、サラリーマンは毎日こんな生活かな?
それも良いかもと思えてきた。
何より孤独でないのが暖かかった。
 すると突然、

「おっ!お前か・・・、久々に来たな。
よしよし、飲め」

と、おじさん気が付き酒を勧めてきた。
 俺は、

「どうも」

と、日本酒のぬるいのを頂いた。
 一口飲んで喉がカーッときて。
う~ん、まだこの手は好きではないのかもな、と思ったが。ポカポカと体が暖まってきた。
二杯程頂くと、俺は店の大将に同じ物をと、
日本酒のお代わりを頼んだ。
常温の酒の入ったガラス瓶が前に置かれた。
 う~ん、冷やすか熱燗で飲んだら良いのにと思ったが、言わなかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み