第2話  京都クイーンズホテル

文字数 471文字

 「でも、ご両親のためにそのようなプレゼントをされるなんて感心しますね」と私が言うと、

 「ありがとうございます。実は、数ヶ月前に、テレビで関西のホテルの特集番組を家族で見ていて、一度でいいからこんなところに泊まってみたいねと、父が母に話していたのを聞いていたからなのです。そのホテルが、ここの京都クイーンズホテルだったのです。ただ、恥ずかしい話ですが、こちらの宿泊料金のことも調べずに来てしまいました。先ほど、こちらのパンフレットに書かれている料金を調べたら、3万円からとなっていたため、ほんとうのところは、諦めようかと思っています」と彼女が少し悲しそうに言った。 

 「ご宿泊の希望日は、いつなのですか?」と私が尋ねると、

 「来月の16日です。その日は、両親の結婚記念日で、ちょうど20年目になるのです」と彼女は明るく言うと、

 「8月16日ですか?」と私は念のため彼女に確認をした。

 彼女に確認をした理由は、8月16日とは、京都では有名な『大文字の送り火』がある日で、

 その日は、すでに数ヶ月前から満室になっていることを私は知っていたためだ。

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