第3話  全てのホテルが満室

文字数 459文字

 彼女は小さく頷くと、

 「部屋は空いていないでしょうか?」と彼女が不安そうに言った。

 「残念ですが、その日は、あいにく全館満室なのです」と私は正直に満室になっている理由も彼女に説明した。

 「わかりました。では、他のホテルをあたってみます」と彼女は言って、席を立とうとした。

 「他の市内のホテルに空き状況を確認をしますので、あと15分ほど待ってもらえますか?」と伝えた私は、フロント事務所へ戻ると市内のある10件程度のシティホテルへ電話を入れ、確認をした。しかしながら、良い結果は得られなかった。

  彼女にその結果を報告すると、

 「いろいろと調べて頂き、ありがとうございました。来年はできるだけ早く予約を入れるようにします」と彼女は言うと、

 彼女は席を立ち、私に会釈をした。


 そして、彼女が玄関へ向かおうとしていた、その数十秒の間に私の頭の中では、

(彼女のために何とかできないのか?このホテルも他のホテルも満室で厳しい状況だ。でも、なんとかなるかもしれない!)と私が思った瞬間、

 「お客様!」と私は彼女を呼び止めていた。

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