第8話

文字数 286文字

☆☆☆
「小夜さん、ではゴミ捨てに行ってきます」
「ええ、よろしくね」
「今夜はフルムーンですよ」と、隣人は嬉しそうに小夜に伝えると、大きなスーツケースを運び出した。

 小夜は彼を見送ると、窓辺に立ち満月を見上げた。全身に月明かりを浴びた小夜の肌は、青白く艶めいてよりいっそう美しくなっていくようだ。

「あら……?」夜風のあたった頬が、ひやっとした。小夜は手をやって頬をこすった。「しぶきが飛んじゃったんだわ」と、小夜は指先についた赤いしたたりをくわえ、ちゅうっと吸った。

「ん。おいし!」小夜は満足そうに微笑んだ。

                               おわり
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み