第5話

文字数 998文字

二部の開場時間も迫り私達は店を出ました。
会場前には一部よりも多くの人だかり。
大きなスーツケースを持って待っているのです。
と言うのも、写真を撮る為のチケットの購入はCDや写真なんかを購入するシステムなので
荷物が増えるわけです。
みんな写真を撮る為に、話をする為にとてつもない金額を使ったりします。
おなじCDを何枚も買うのですが、そのCD達はどうなっていくのだろうと不思議に思う
くらいです。
「和香。買い足す?」
「そうだな…一枚だけ」「やっぱりももくんとこ行こっかな」
「え、きいちゃん連続じゃないの?」
「ん…ライブ終わるまでに考える」
「そっかそっか。私も足そっと」
「何枚撮るの?」
「やっぱり全ポーズ制覇」
本当にみんなの熱量ハンパないです。

二部のライブも終わりお楽しみの始まりです。
「和香。きいちゃんとこひとりで行ってみたら?」
「無理無理。きいちゃんだけは無理」
「もうそろそろ大丈夫だって。もう何回目?」
「何回目とかじゃないんだって」
どうしてなのか?きいちゃんだけは何だかひとりで行けず不思議です。

「和香ちゃん来てくれた」「あ、ライブ中気付いた?」
「ももくんやっぱり来ちゃいましたよね」
「ねえねえ、気付いてくれた?」
ももくんちょっと小声で言うからいつもよりドキドキした。
「あれさ、私にって思ってよかったの?」
「そうだよ」「ほらほら、もっとくっついてよ」
ももくん近すぎですよ。いつも緊張しないのに、何だかドキドキするじゃない。
「次のライブも約束ね」
「仕事休みとって来るね」
あー、おそるべしツーショット。まんまとのせられていくのでしょうね。

「おっ、初めてひとりで来たね」
「みんながひとりで行けって言うから…」
「さっきももんとこ行ってたでしょ」「見てた」「同じポーズにしよっか」
「えっ」
「何話してたの?」
相変わらずグイグイ来るんですよ。
「えっと…次のライブも約束ねって」
「じゃあ、俺も約束ね」
いつもより近い、近いです。
心臓のバクバク聞こえそうです。

これで夢のような時間も終わり、またしばらくは現実に戻ってお仕事です。
でもこの余韻で数日は楽しめます。
だからやめられない、ついついライブに来ちゃうんですよ。
働く活力ってやつですね。
明日からはこんなデレデレな私は封印です。
こっそり楽しみながら絶対バラしませんよ。

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