第8話

文字数 1,076文字

時間経つのがこんなにも早く感じる事があったでしょうか…
きてしまいました。
朝です。ももくんに会う朝が来てしまいました。
何をしても落ち着きません。
ライブに行く時のドキドキとは比べものにならないくらいです。
洋服も持ち物も昨日のうちに準備しました。
早く起きてしまったので、いや、眠れなかったので時間はたっぷりあります。
でも、でも落ち着かないんです。

『おはよう。忘れないでよ。今日だよ』
ももくんからのメールが来ました。
『おはよう。遅れないように行くね』
とりあえず返事をしました。
ただでさえドキドキしているのに…
ドキドキが振り切ってしまいました。
とにかく遅刻だけはしないように準備です。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

約束の場所に到着。
そこにはすでにももくんが居ました。
なかなか近づけません。しばらく眺めているしか出来ませんでした。
そんな私にももくんが気付きこっちに歩いてきます。
「おはよ。良かったー」
「おはよう」
「行こっか」
「うん」

一緒に歩いていると周りの視線が気になります。
ももくん目立ちます。カッコ良すぎです。
私なんかが隣を歩いていていいのかと思っている私の手を…
「この方が歩きやすいでしょ」
ももくんから手を繋いでくれたのです。
嬉しいやら、恥ずかしいやら、なんだかもうわけが分かりません。
「顔真っ赤だよ!大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。心の準備が出来てなかった…」
「えっ、いっつももっとくっついてるじゃん」
「あれはほら…」
「そっかー今日はデートだもんね」
「あのさ…」
「どうしたの?」
「なんで私誘ってくれたのかなって」
「だって会いたかったから」「それだけじゃダメかな」
「突然すぎて…ももくんならいっぱい可愛い子とか…ファンの子も多いし…」
「和香ちゃんがいいの」そう言っておでこにチュッですよ。

しばらく歩いて、歩きながらアイスなんか食べたりして。
不思議なものです、自然になってました。
ただただ楽しくて、相手はももくんなんだけどそれすら忘れちゃうくらいに楽しいんです。
デートってこんなにも楽しかったんだ、でもどこかで気持ちにブレーキかけてるんですよね。
勘違いして、勝手に盛り上がっちゃたりすると後で辛い思いをしそうで怖いんです。
楽しい時間はあっという間です。
「和香ちゃん明日は仕事?」
「うん。なかなか連休ってなくてね」
「そっか…でもさ、後もうちょっとだけ」
時間が止まればいいのにとかっていう気持ちがよく分からずにいた私も初めてそう思うのでした。

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