第3話

文字数 905文字

ライブ当日の朝がやってきた。
なんでこんなに早く待ち合わせなのかと思うくらい早い。
「おはよう」
「おはよ。これってさ、来るの待ってる感じ?」
「そうそう」
なんて話していると、向こうの方から数人の男の子達が歩いてきた。
「お母さんおはよう」「もしかして待っててくれたとか?」
「そうよ」
私の友達はみんなに‘お母さん’と呼ばれているようだ。
デビューした時からずっと応援、追っかけをしているのだからそうなるのかもしれない。
でも、‘お姉さん’ではないのだと複雑な思いがした。
友達はもちろん私より年上ではあるが、私もそんなふうに見えてしまうのかと思うと
なんだか残念な気持ちになった。

「さ、おはようも言ったしご飯でも行きますか」
「もしかして、この為にこの時間に待ち合わせ?」
「うん。これが他の子達との差なのよ」
なんだか満足そうに、ちょっと自慢げに見えたのは私だけだろうか?
ライブ迄にはまだまだ時間はあるが、きっと早く入る為にご飯が終わればすぐに戻るのだろうと
思いながら近くに店で食事をした。
友達は食事をしながらもスマホの充電とメールのチェックを欠かさない。
いやいや、ほんと大したもんだ。

「和香は今日誰の所に行くの?」
「んー、どうしよっかな…きいちゃんとももくん」
「まだハッキリしてなかったんだ」
「迷い中。かっこいいと可愛いだしさ」
「私は絶対あっくん!」
「知ってるよー」「でも、ドキドキし過ぎてきいちゃんとこひとりで行けるかな…」
「ももくんとこは行けるんだよね?」
「そうなの。ももくんは目も合わせられる」
「じゃあ、きいちゃんが好きなんじゃないの?」
「どうなんだろうね」
「そろそろ行きますか」
私達はライブ会場へ向かう。
すでに周りにはたくさんの人。みんな開場を待っていた。

時間になって会場へ入って行く。
ライブが終わった後のドキドキの為のチケットとドリンク。
これが結構なお金が掛かります。
でも、その苦労が報われるストレス発散の時はすぐそこです。
会場が真っ暗になり、ビートが響き始めます。
女の子達の声と共にライトが点灯。
いよいよライブスタートです。



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