第4話

文字数 1,021文字

いつも通り、1番後ろで結構大人しめに楽しむ。
というか、周りに圧倒されるしまだまだ新参者の私はノリきれないのだ。
1番後ろって言っても小さなライブハウス。
肉眼で表情まで見える距離、目があったりなんて事もある。
私は好きな歌が流れると口ずさんだりしながら楽しんだ。

「どうする?チケット買い足す?」
「でも、二部もあるでしょ?」
「二部の方が人増えるし、今のうちに増やそうかなって」
このチケットとは今から始まるお楽しみに必要なもので、握手したり、一緒に写真を撮ったり
出来るのだ。
写真はポーズが何パターンもあるし、手紙とかは握手の時しか渡せないし、みんな推しの為に
必死なのだ。
「和香。今日握手は行く?」
「今日はグル写と個写にする」
「グル写は一緒に行こっか」
「了解」
「個写はきいちゃんとももくん?」
「うん。」
「今日はひとりで行けそう?」
「ももくんは行ける。きいちゃんは…途中までお付き合いお願い」
「はいはい」
こんな私でも照れるって事があるようで、至近距離で見つめられる事になかなか慣れずいつも
友達に付き添われそこに行くのです。

「今日も付き添われてるー」
「まだまだ慣れなくて…」
「ほらほら、こっちおいでよ」「ちゃんと俺の目見て」
ドキドキしながら写真を撮ってもらう。
「二部も来るよね?」
「うん」
「じゃあ、また後でね」
私だけに言ってないのが分かっていても、こんな言葉にドキドキしてのせられてしまうのだ。
恐るべしツーショット。
「和香ちゃん。来てくれたー」
「ももくん来たよー」
緊張もせず笑顔でパシャリ。
でも、名前呼ばれたりするとやっぱり嬉しいものです。
それに何より距離が近い。近過ぎるのですよ。
写真だけ見ると彼氏感半端ないんです。
やっぱり恐るべしツーショット。

「とりあえずご飯行こっか」
「お腹空いたね」
夕方から始まる二部の前に腹ごしらえ。
ご飯を食べながらみんなと話をしていてもなかなかついていけない私。
思い入れ?思い込み?が違い過ぎる。
確かにあのツーショットやら握手はやられて当然。
年齢なんて関係なく‘女の子’になってしまう、してくれるんです。
こんな私の姿は職場の人には見せられません。
多分、いやきっといじられまくりです。
ライブに行くとは言いますが、このお楽しみの事は絶対の秘密です。
二部の後のお楽しみ。
チケットを買い足してしまいそうな、そんな予感がしています。
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