第9話

文字数 836文字

しばらく歩きました。
何を話すでもなく、ただ手を繋いだまま…

「和香ちゃん…あのさ…」
「うん」
「ライブには来て欲しいけど、他の子と一緒にいる見ても大丈夫かな?」
「えっと…お仕事だし…」
「そだよね」「でもさ、ひとつお願い」
「お願い?」
「…きいくんとこは行かないで欲しい」「ダメ?」
「えっ、どうしたの?」
「俺はね…和香ちゃんときいくんが一緒にいるの見るの無理」
そう言ってももくんは私を抱きしめたんです。
「俺、和香ちゃんが好きだよ」
突然過ぎて、まさかの展開で、頭の中が真っ白になりました。
嬉しいのに、素直に喜べない…私なんかがって思いが素直にさせないんです。
しかも相手はももくんですよ。
真っ白な頭の中に色んな感情が渦巻いていました。

「突然ごめん」「ゆっくりでいいからさ」
「うん」
「今度のライブも来てくれる?」
「うん。行くよ」
「待ってるね」

ももくんは私を近くの駅まで送ってくれました。
私は電車に乗って帰ったのですが、帰り道の事はほとんど覚えてないんです。
突然過ぎて、予想していなかった展開に心も頭もついていけず…
今日も眠れそうもありません。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「おはよう和香。寝不足?」
「おはようございます。いやいや、眠れなくて…」
「昨日休みだよね?なんかあった?」
「ありまくりですよ。パニックです」
「和香がそう言うって事は恋愛事だな」
お姉はそう言ってニヤニヤしてました。
図星ですよ。その通りです。
昨日の事を思い出す度に何も手につかなくなりそうです。
オヤジ和香はどこ行った?

「成美。休み明けで悪いけど会議の資料よろしく」
「了解です。今日中でいいですか?」
「いいよ。出来たら見せて」
「了解です」
いいタイミングなのか、悪いのか?なんとか仕事スイッチ入れられそうです。
しっかりお仕事して稼がせてもらいます。
またライブもあるし、それまでは頑張ろうと思う今日この頃です。

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