第7話 完結
文字数 396文字
「時効成立、おめでとうございます」
男は顎にあるアザを撫でながらグラスを持ち上げ乾杯をする。傍らには浜崎と名乗った老人ともう一人の男がグラスを傾けながら満面の笑みを浮かべていた。やがて老人はソファーに座り込み、煙草を燻らせる。
「ああ、あんなに上手くいくとは思わなかった。われわれは警察を出し抜いた訳だ。完全犯罪の成立だな」
アザの男は顔を向けると、満足げな表情であるもう一人の男に言った。
「いくら狂言誘拐とはいえ、勇也君には辛い思いをさせました。ですがあの時は脱税で国税局から査察が入るのも時間の問題でしたからね。しかも警察や奥さんには一億と言っておきながら、実際に金庫には三億円が入っていたんでしょう? 金の出所の言い訳は大変でしたでしょうが、差し押さえる財産が無くなれば徴収する事も出来ない。さすがです。磯村さん」
磯村と呼ばれた男は笑いを抑えることが出来ず、大声を上げてまた乾杯した。
男は顎にあるアザを撫でながらグラスを持ち上げ乾杯をする。傍らには浜崎と名乗った老人ともう一人の男がグラスを傾けながら満面の笑みを浮かべていた。やがて老人はソファーに座り込み、煙草を燻らせる。
「ああ、あんなに上手くいくとは思わなかった。われわれは警察を出し抜いた訳だ。完全犯罪の成立だな」
アザの男は顔を向けると、満足げな表情であるもう一人の男に言った。
「いくら狂言誘拐とはいえ、勇也君には辛い思いをさせました。ですがあの時は脱税で国税局から査察が入るのも時間の問題でしたからね。しかも警察や奥さんには一億と言っておきながら、実際に金庫には三億円が入っていたんでしょう? 金の出所の言い訳は大変でしたでしょうが、差し押さえる財産が無くなれば徴収する事も出来ない。さすがです。磯村さん」
磯村と呼ばれた男は笑いを抑えることが出来ず、大声を上げてまた乾杯した。