『ドライブ・マイ・カー』感想

文字数 383文字

 どう話が展開していくのか中盤あたりまで見えてこない。が、静かなまま進行する物語には観客をゾクッとさせる不穏な要素が仕込まれている。これが飽きさせない。複雑そうであってシンプルにも感じられる、縄で作った歪んだサークルのようなストーリー。好きではない部分も意味があることがわかった時、受け入れられるようになる。

 登場人物に感情移入するのは難しく(特に序盤は)、車に同乗している気分にもなれない。しかし悔しいほど引き込まれるシーンも存在する。生々しい現実があって、突如訪れる優しい掛け合い、台詞全てが丁寧なのに感動を狙っている感じがしない。リアル過ぎて怖さも感じるが、やっぱり優しい。そこは好きだった。思い返すほどに魅力の部分が見つかる映画だと思う。

 戯曲『ワーニャ伯父さん』を知っていればもっと深読みできたかもしれない。
 日本映画というより多国籍な映画を観ているよう。
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