『フィールズ・グッド・マン』感想

文字数 612文字

 ドキュメンタリーの主役が漫画のキャラクターであり、映画の紹介を見る感じアニメーションを織り交ぜ、コメディータッチで自虐的な笑いの要素があるのかと思った。しかし劇場で本編を観ると笑いで済ませられるような話ではなかった。
 カエルのペペのことは知らなかったし、彼に降りかかる出来事に序盤は同情心も持っていなかったが、問題に触れていくにつれ他人事とは思えなくなってくる。
 ある漫画のキャラクターにお決まりの台詞があって、それが他の場面、現実世界でも多用されるということはある。しかしペペの場合、「Feels good man.」という台詞は漫画の中でそこまで何度も使われていたのだろうか。映画を観た限り問題の台詞は1コマだけのようだった。これが何故インパクトを与えたのかは本当に不思議。
 “ミーム” という言葉は初めて聞いた。模倣の連鎖によるネット情報拡散の影響の恐ろしさは、悪い方にいってしまうと限度に歯止めがかからないところか。
 終盤、香港の若者達に愛されるペペを見て少しホッとした。故郷アメリカでも作者フューリー氏の望むシンボルにしてほしいと願いたい。映画を観る前の感覚とはえらい違いに自分でも驚く。

 ペペとマット・フューリー氏を応援したいと思う。が、自分に何かができるわけではない。少なくとも映画を観た者として歪められたイメージのペペではなく、ペペは仲間達と何気ない日常を生きる面白いカエルだと認識できたことは確かだ。
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