霧の中の獣

文字数 241文字


眠る心の奥深く霧が導く幻惑の森
月の女神が悪戯に誘う狂気の宴なり

飢えたる獣が貪るそれは
愛か憎悪か己自身か
夢現(ゆめうつつ)とさまよう御霊(みたま)
されど人の(しるべ)を求め
とうに失う戻り道 残り進むは破滅の(さが)
己が牙が嘲り笑う
「何ぞ貴様は?」
交えぬ心に答は見えぬ
悔いても尽きぬ涙なれば
月の女神の宴が終わる その銀杖を()(かざ)
思い残す事もなき幸福は愛する者の人生なり
嗚呼、人生!

狂気の宴の終焉が来る
浅ましい獣は夢幻の森へと追われ去り
そして、私はようやく眠るのだ
愛しき人々よ、おやすみなさい


(Image for 狼男)
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