第17話 入口
文字数 1,224文字
「はあはあ、流石に息が切れた」
あれからこの階段を何往復したのだろうか?
確かに竜乃宮はここを降りていった。
なのに下に降りれば消えていた。
論理的に言えばどこかに抜け道があるはず。
だが何度舐めるように調べながら階段を往復しても見付けられない。
そろそろ不審に思った駅員とかに通報されそうである。
だが何の手掛かりも得られないのに引けない。
考えろ。
階段を降りきるまでは俺は竜乃宮を捕捉していた、見失ったのは階段を降りきったあの一瞬。
自分を信じろ。
ならば隠し通路は階段を降りきったところにこそある。
ゆっくりと一歩一歩踏み締め下に向かっていく。
しかしここに隠し通路があるとしても俺以外の目も多数ある中で怪しまれずに隠し通路に行くことなんか可能なのか?
そんなマネすればスマフォで激写されネットで話題になってしまう。やるなら深夜とか人が全くいないときにするべきでは?
敢えて人目に付きそうな危険なあのタイミングで行う意味は?
階段下で立ち止まった俺を邪魔そうに避けて人が通り過ぎていく。
常識に囚われていては芸術は語れない。
思考のブレイクスルー。
逆だ人混みだからこそ隠せる。
木を隠すなら森の中。
人混みに隠すならやはり人。
立ち止まる俺を不審者と断定したかフロアの向こうから駅員が向かってくるのが見える。
集中力も落ちてきた、一旦出直すか。
こうして俺はこの日は一旦家に帰ることにしたのであった。
そして次の日の午前中フル装備、
特殊スーツ。
携帯食料。
通信機。
煙幕。
発光弾。
トンファー。
そしてあの勾玉を持って俺は再び階段の上に立つ。
狙った通りに人が多い、昨日より少し多いくらい。朝のラッシュ時では多すぎると思って少し時間をずらした。
条件は揃っている。
人の流れを見る。
ざっざっざと階段を降りていき、降りきれば改札口に向かって流れていく。
人がまるで水の粒子にでも成った川のように流れていく。
あまりに自然の流れ。
だがあの流れの中に異質な者があるはず。
俺なら掴める。
もうここの構造は体で覚えた。
俺は目を瞑り気配で流れを掴み階段を降り出す。
ザッザッザッザ。
階段を一歩一歩流れに沿って降りていく。
今のところ何も感じない。
途中の踊り場を曲がって更に降りていく。
ここからだ。
ここから何かある。
ざっざっざっざ。
一歩一歩人に紛れ降りていく。
もう直ぐ下に着く。
そして着いた瞬間俺は目を開いた。
流れに慣らされていない新鮮な目。
暗闇に急に入っても見えなくならないように予め目を閉じておく手法。
流れに慣らされていない目に異質な者が映った。
流れが改札口に向かって流れるなが、カルマン渦のように流れから外れている者。
俺はその者に飛び込んだ。
そして新しい世界への入口が開かれた。
あれからこの階段を何往復したのだろうか?
確かに竜乃宮はここを降りていった。
なのに下に降りれば消えていた。
論理的に言えばどこかに抜け道があるはず。
だが何度舐めるように調べながら階段を往復しても見付けられない。
そろそろ不審に思った駅員とかに通報されそうである。
だが何の手掛かりも得られないのに引けない。
考えろ。
階段を降りきるまでは俺は竜乃宮を捕捉していた、見失ったのは階段を降りきったあの一瞬。
自分を信じろ。
ならば隠し通路は階段を降りきったところにこそある。
ゆっくりと一歩一歩踏み締め下に向かっていく。
しかしここに隠し通路があるとしても俺以外の目も多数ある中で怪しまれずに隠し通路に行くことなんか可能なのか?
そんなマネすればスマフォで激写されネットで話題になってしまう。やるなら深夜とか人が全くいないときにするべきでは?
敢えて人目に付きそうな危険なあのタイミングで行う意味は?
階段下で立ち止まった俺を邪魔そうに避けて人が通り過ぎていく。
常識に囚われていては芸術は語れない。
思考のブレイクスルー。
逆だ人混みだからこそ隠せる。
木を隠すなら森の中。
人混みに隠すならやはり人。
立ち止まる俺を不審者と断定したかフロアの向こうから駅員が向かってくるのが見える。
集中力も落ちてきた、一旦出直すか。
こうして俺はこの日は一旦家に帰ることにしたのであった。
そして次の日の午前中フル装備、
特殊スーツ。
携帯食料。
通信機。
煙幕。
発光弾。
トンファー。
そしてあの勾玉を持って俺は再び階段の上に立つ。
狙った通りに人が多い、昨日より少し多いくらい。朝のラッシュ時では多すぎると思って少し時間をずらした。
条件は揃っている。
人の流れを見る。
ざっざっざと階段を降りていき、降りきれば改札口に向かって流れていく。
人がまるで水の粒子にでも成った川のように流れていく。
あまりに自然の流れ。
だがあの流れの中に異質な者があるはず。
俺なら掴める。
もうここの構造は体で覚えた。
俺は目を瞑り気配で流れを掴み階段を降り出す。
ザッザッザッザ。
階段を一歩一歩流れに沿って降りていく。
今のところ何も感じない。
途中の踊り場を曲がって更に降りていく。
ここからだ。
ここから何かある。
ざっざっざっざ。
一歩一歩人に紛れ降りていく。
もう直ぐ下に着く。
そして着いた瞬間俺は目を開いた。
流れに慣らされていない新鮮な目。
暗闇に急に入っても見えなくならないように予め目を閉じておく手法。
流れに慣らされていない目に異質な者が映った。
流れが改札口に向かって流れるなが、カルマン渦のように流れから外れている者。
俺はその者に飛び込んだ。
そして新しい世界への入口が開かれた。