酔っぱらいの話*アイルランド人兄ちゃん編

文字数 2,536文字

続いてきた「酔っぱらいの黒歴史」シリーズは、ひとまずこの第8話で終了です。
彼らを上回る酔っぱらいが出てきたら、また書きます.笑

さて、ニュージーランドに移住してきて気づいたのですが...ここでは普段の日常生活をおくる中で「酔っぱらい」に出遭うことが、ほとんどありません。

もちろん、夜の時間帯のシティ繁華街やレストランやパブなど、必ず遭遇するであろう処へ行けば可能性はありますが、夜8時以降に単独でそのような場所へ行くことは、まずありません。

今さらながらに思うのですが・・・深夜に女性がひとりで公共機関に乗ったり、夜道を歩いて帰る、って本当に海外在住者からすると「ありえない」のです。
これはアジアンだから、というワケではなく、地元のKiwiの女性達も暗くなってからの外出は避けています。

なので、若かりし頃に自分がした行いを思い返すと・・・ちょっと背筋がゾッとしますね。よく、大きな犯罪に巻き込まれず、無事に過ごせたなぁ、と。

それでも昨今は日本の治安もあまり良くないようですので・・・皆様、夜の外出や飲酒には気を付けましょうね。(おまえが言うか!というお声は甘んじて受けます)


そんな状況だったので、基本的には暗くなってからの外出は自粛していたニュージーランド移住当初。息子もまだ7~8歳の頃でしたしね。

その息子も寝たあとの深夜12時過ぎ。夜鷹の私は、その時間にシャワーを浴びていたのですが・・・なにやらバスルームの窓外でガタガタと音が聞こえます。

先に寝たと思っていた元夫が、ガレージか何かで探し物をしているのかな?と思いながら、バスルームを出ました。
すると・・・キッチン横にあるドアノブがガタガタと鳴っています。
外に出た後に、ドアの鍵がかかってしまい、締め出されたのかな?と不審に思いながらベッドルームをチラ、と見ると・・・元夫が寝ています。

え?じゃあ、ドアの外に居るのはダレ?

あわててキッチンに入ってドアの方を見ると、ちょうどドアノブが回って扉が開くところでした。(なんと!鍵をかけ忘れてた;)
しかし、不幸中の幸いでドアチェーンがかかっており、ドアが開いたのは、約10cm。
けれど、その隙間から見えたのは・・・なんと、覗き込む男の目!(ホラー!!汗)

その時のことは恐ろしさのあまり記憶が飛んでいて、あまり覚えていないのですが・・・咄嗟にドアに飛びついてバタン!と閉め、電光石火で鍵をかけました。

なにアレ?やばいやばいやばいーー!!!

すぐに寝ていた元夫を叩き起こすべく、ベッドルームへ駆け込みました。しかし、その時すでに騒ぎで目が覚めていた彼は木刀を持って玄関へ。そこでは、外に居る男が再びドアノブをガチャガチャと回しながら、なにやら騒いで・・・いや、懇願しています。

どうやら・・・寒いので中へ入れて欲しい、と英語で言っているようでした。(補足すると・・・その時は真夏でした.笑)

元夫が、中には入れられない、帰れ!と怒鳴りましたが、聞こえていないのか、相変わらずドアノブを回したり、ドアを叩いたり。

いやいやいや・・・これは!ポリスに通報案件じゃない!?

というワケで、NZに来て初の111通報。
移住当初、英語もたいして話せないジャパニーズは、不審者がドアの外に居る、とにかくヘルプミー!を連呼します.笑

でも・・・さすがはポリス、冷静です。
落ち着いて。彼は銃やナイフを持ってる?ドラッグやってる?人種は?どんな容姿で服装は?

ドアの隙間から見ただけなので、よくは分からないのですが・・・とりあえず、記憶の範囲で答えます。
その間に男はドアから離れ、我が家のガレージに移動したようでした。

ポリスが今から行くから、ということで住所を教えた後・・・彼らが到着するまでの約10~15分の長かったこと。

男を刺激しないためか、パトカーで家の前に乗り付ける事はせずに、少し離れたブロックから男性と女性の警官が歩きでやってきました。

元夫が、男はガレージに居ると思う、と伝えると・・・二人の警官は頷いてガレージへ向かいます。話声が聞こえ、どうやら男は騒ぐことなく大人しく尋問を受けているようでした。

しばらくするとガレージから、両脇を警官に抱えられるようにして若い男が出てきました。
男性の警官が家の前で男と話している間、女性の警官が状況を説明してくれます。

彼はアイルランド人でお酒を呑みすぎて自分の家が分からなくなり、深夜灯りがついていた我が家のドアを叩いたらしい、とのこと。
そして、どうやら常習犯らしく、同じような騒ぎを今まで何度も起こしてるから、今から彼を家に届けてくるわ、とのことでした。
だから心配しないで、ゆっくり寝てね!Have a good sleep!とにこやかな笑顔を残して2人の警官は泥酔していたアイルランド人男性をサポートしながら立ち去ってゆきました。

その頃、既に深夜2時近く。はあ…ポリスって、ホント大変なお仕事ですね…。

グッドスリープ!と言われても・・・もう、心臓バクバクで、すっかり目が冴えてしまい、結局寝たのは明け方近くでした。


翌日、友人にそのホラーまがいの体験を話したら「アイルランド人はとにかくお酒が大好き」とのこと。
確かに…ニュージーランドでも、だいたいどの街に行ってもあるアイリッシュパブ。ギネスビールやアイリッシュウィスキーを呑みながら、楽しく語り合う情報交換の場であります。

なるほどね~
あのアイルランド人兄ちゃんもお酒大好きで、どこかのパブで呑んだ帰り、泥酔して道に迷ってしまったのでしょう。

そこで「ここはどこ?」と聞きたかったのか、呑みすぎて体温が下がって寒かったのか・・・灯りがついている家のドアを叩いた、というワケです。(マヂ迷惑)

たぶん、彼は誰かに危害を加えるような事は無かったと思うのですが・・・それにしても、あのドアの隙間から覗く双眸の恐ろしさは、しばらくトラウマになりました。

日本の酔っぱらいとはまた違う、めちゃめちゃホラーなアイルランド人の酔っぱらい。

欧米人はお酒に強い方が多いのですが・・・そんな人たちが「酔っぱらい」になるのは、おそらく相当量呑んでるからですよね。
海外で遭遇する酔っぱらいは、ちょっとレベルが違うのでは?と思ったホラー事件でした。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み