酔っぱらいの話*ぴのかん編

文字数 3,229文字

前回は「酔っぱらいの黒歴史」を編纂するにあたり、自分より実父のエピソードを先に暴露してしまいました。
メール見るくらいしかPC開かない実父・・・バレませんように.笑


さて、そんな実父の血を引いたおかげか?娘も順当にお酒を嗜み始めました。

成人してから…と言いたい処ですが。
正月のお屠蘇(とそ)代わりに日本酒舐めてみたり、父親が面白がってビール飲ませたり…って皆さんもありますよね?あれ?うちだけ・・・?汗

でも、子供の頃は全然美味しいと思いませんでした。
なに?このツーンとくる飲み物(日本酒)アワアワのただ苦いだけの飲み物(ビール)

父はこんな怪しい液体を呑んで・・・普段の人格からは考えられないようなニコニコ笑顔になったり、饒舌にベラベラ喋りだしたり、足元おぼつかないまま隣の家のピンポンを押すのか?

でもね…呑み始めたらわかったんです。父の気持ち(酩酊状態)が。


社会人になってからは、親しい友人が酒好きだったこともあり、美味しいお店を見つけては、不定期的に呑みに行きました。
若い頃は好奇心もあって様々な店の口コミを探して、食べたことの無い料理を頼み、それに合うお酒に果敢に挑戦していましたね。

居酒屋や和食料理店ならば、生ビールから始まって日本酒はもちろん、焼酎、泡盛、ウイスキー…米、麦、サトウキビなどの穀物原料から作られるお酒は身体に沁みます。

中華料理では紹興酒や老酒、韓国料理ではマッコリ、イタリアンやフレンチではワインなんかも呑み始めたから、大変です。

独り暮らしを始めた友人宅へ、週末お酒と(さかな)を持ち込み…いわゆる「宅呑み」の味を覚えてしまい、泊まる気満々で行く日はフツーにワインボトルを1人1~2本は空けてゆきます。

翌朝、テーブル上に乱立する空のワインボトル林を見ながら・・・また缶ビールのプルタップを開ける女子達。

なんかもう、下宿部屋に集まる男子大学生かよ?というシチュエーション。当時、彼氏も居なかったOL達(死語)は会社の愚痴や先日の合コンの悲惨さなどを語り合い、夜を明かしたものです。(遠い目)


こんな風に友人宅へお泊りなら問題なかったのですが…酔っぱらいにとって大変なのは、なんといっても家への帰宅。

その頃、実家住まいだった私は埼玉の辺境から片道2時間近くかけて、東京へ通勤していました。
(6年後にこの通勤がイヤで会社を辞めた人ですが;)

当時は上野発の夜行列車…ならぬ埼玉方面へ向かうのは東北線と高崎線。あのオレンジと緑のツートンカラーは、ローカル列車の象徴のようでもありました。

まず、酔っぱらいにとって難関なのは「乗り間違い」と「乗り過ごし」

「乗り過ごし」はまだイイです。(いや、良くはないんだけど)
とりあえず、今乗ってきた線路を戻る電車に飛び乗れれば…

関東近郊からの通勤電車は、驚くほど遠くから来ているものも少なくありません。
私が利用していた東北線(今の宇都宮線)も、遠くは黒磯(福島)始発のものもあり、うっかり寝過ごそうものなら、軽く越境して別の県へ連れていかれます。

何度、乗り過ごして茨城県や栃木県に旅してしまったことか。
これが終電だったら、本当に最悪です。帰る上り列車もなく、仕方なく駅の改札を出てみるとタクシー乗り場も長蛇の列。(私と同じアホな酔っぱらいばかりなの?)

もう、すでに寝ているであろう親に電話するのも(はばか)られ(実父の雷が落ちるの確定)、ほぼほぼ泣きながら真っ暗の田んぼ道を歩いて帰ったことも。
いや…今思い出してもホント最低ですね、酔っぱらい娘。海外だったら即、犯罪に巻き込まれてるところです。


その「乗り過ごし」の上をゆく、「乗り間違い」
素面(しらふ)でも、けしてやりたくないミスです。

酔っぱらっていても、電車を乗り間違えることは・・・めったになかったのですが、問題だったのは上野発の夜行列車、じゃない東北線と高崎線。
同じホームに同じ色の車両(オレンジと緑のツートン)が到着するのが悪い。
(いや…全面的に私が悪いんですけどね!)

素面なら、まず間違えることは無いのです。万が一、出発間際に慌てて飛び乗ってしまっても、その後の車内放送や、途中の駅で気づくから。

しかし、そこは酔っぱらい娘。もう、座ったとたんに記憶もなく爆睡です.泣

1時間くらい電車に揺られて「あ、もうそろそろかな・・・」と目が覚め、停まった駅で標識を確認。

「吹上(ふきあげ)・・・?」

聞いたこともない駅名に愕然(がくぜん)とする酔っぱらい。咄嗟に降りることもできません。
電車が動き出してから、何事もなかったかのように席を立ち(恥ずかしいので)、ゆっくりと路線図を見にゆきます(その頃は携帯電話で路線図や乗換案内などは見れなかったのです)

━━しまった。あの高崎線に乗ってる!
あの大宮から二股に分かれる、同じ埼玉を通りながらも群馬と盟約を結んでいるライバルライン!(なぜか東北線沿線住民と高崎線沿線住民は対立しがち.笑)

もう、敵地に身ひとつで乗り込んだ気分で、一気に酔いが醒めました。

この時は、幸い最終の上り電車に飛び乗り、これまた大宮で最終の我が東北線に乗り換えられることが出来て・・・なんとか家に辿り着いた記憶があります。

ああ、もう・・・なんて一日なの。もうゼッタイお酒やめる。付き合いでどうしても・・・ならビール1杯でやめよう!
酔っぱらい娘は、何度も心に誓ったハズなのに。気が付いたら・・・翌日も居酒屋で乾杯してる。


あ、でも1週間くらい禁酒してた時がありました。(1週間かい!)

あれは念願の独り暮らしをスタートさせ、ちょっと都会に近い街に住み始めた頃。
性懲(しょうこ)りもなく終電に乗り、終点の駅で降りた時の話です。
その駅は私がいつも乗り降りしている駅のひとつ手前、歩くと家まで25分くらいかかります。

その夜は、私のように最寄り駅まで運んでもらえなかった乗客達が、ぞろぞろと次の駅方面へ向かって歩いていました。

すっかり酔っぱらって、でも夜風にあたりながら、気持ちよく歩いていた私でしたが…気が付いたら、地べたに転倒していました。
ふらふら歩いていた歩道の街路樹の根元に足が引っかかったらしいのです。

まわりを歩いていた人がビックリして、こちらを見ていました。大丈夫ですか、と心配気に声をかけてくれた人も居た気がします(おぼろげな記憶)

低めのヒールにタイトスカートのオフィスファッションだったのですが…もう、とにかく恥ずかしくて慌てて飛び起き、大丈夫ですぅー、もう、何やってんだか!などと取り繕って、その場から逃げるように帰宅しました。

それから、どうやって布団まで辿り着いて寝たのか、よく覚えていません。
翌朝、痛みで目が覚めました。

頭がズキズキ…うう、二日酔いかぁ、と額に手をやると、ぬるりとした感触。
目の前に、その指先を持ってくると・・・赤いものが。
映画のシーンでよくありますよね。頭に伸ばした手をふと見るとベッタリとついた赤い血…というアレです。

驚いて飛び起きると、シーツが血で染まっています。
半袖ブラウスから出ている肘と膝から出血、すでに血はほぼ固まっていましたが、ストッキングがビリビリに破れて悲惨なことに。足首も捻ったのでしょう、すこし腫れています。

鏡で顔を確認すると、こめかみに擦り傷があり、ぼさぼさの髪の生え際に血が固まっており、何ともヒドイありさまです。

樹の根につまづいて転倒した時、アスファルトと土の境目あたりで、擦ったらしく服も土や砂にまみれていて、悲惨な状態。

━━ホント、酔っぱらいってイヤですねぇ。(他人事)

転倒時は、酔いが麻酔の役割をして、まったく痛みを感じませんでした。通常なら、その時点で痛くて歩けなかったかもしれません。

酩酊状態のおかげで?流血も足首の捻挫にも気づかず、ただ羞恥心だけで現場から逃げるように帰れたというワケです。

その後、たぶん・・・1週間くらいは禁酒したと思います。
いや、捻挫で会社を休んだかもしれん。

ダメダメ人間の見本市のような・・・私の「酔っぱらい黒歴史」でした。

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