(一)
文字数 211文字
ティム・アレンビーはマンションの共用廊下部分にいた。膝立ちの姿で玄関ドアの鍵穴に針金とアイスピックを突っ込み、何度か針金を抜き差ししたり左右に揺さぶったりしたあと、鍵穴を回した。
立ち上がると、ドア横で拳銃を構えて待機していたアレン・キムに視線を向けて頷いた。アレンもうなずき返してきた。
そしてティムは「李安雄」と書かれたテプラを貼付された表札の隣にある、年季の入った鉄製の玄関ドアのノブを回してドアを引いた。
(続く)
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