第4話

文字数 535文字

「白薔薇さん。あなたが仲間じゃないのが残念でならないよ。あなたの白い花びらは、わたしの青い羽に、とてもお似合いだと思うんだけどね」

「そうね。わたしも蝶の精霊だったなら、自由に飛びまわれたのにね。でも、王子。あなたは、きっと素敵な仲間を見つけるわ。そのときには遠くへ行ってしまうのね。さみしくなるわ。わたし」

 そう言われると、蝶の王子の胸は痛みました。
 あまりに仲よくなったので、なんだか白薔薇の精と離ればなれになるなんて、考えることもできません。

 だけれど、花嫁が見つかれば、生まれた国へ帰らなければなりません。お父さまやお母さまが王子の帰りを待っています。

「いいや。わたしは帰らない。ずっと、あなたのそばにいる」
「そんなことはできないわ。だって、あなたは蝶の精。自由に飛ぶのが宿命よ」
「それはそうだが……帰らないよ。花嫁が見つかるまでは」

 それからというもの、王子の花嫁さがしは熱が入りません。このまま見つからなくてもいいと思うようになりました。

 白薔薇の精と暮らす日々が、とても幸せだったからです。このときが、ずっと続けばいいと思いました。




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登場人物紹介

蝶の王子


青い羽の美しい蝶の精霊。

自由に空を飛べる。

白い薔薇


白薔薇の精霊。

優しく美しい。おっとりしている。

ちょっと気が弱いところも。

赤い薔薇


生まれたばかりの赤薔薇の精霊。

元気いっぱいで、とってもピュア。

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