第7話

文字数 521文字

 三屋は説明会の後、庁内をブラブラとしていた。
「あれー?三屋ー?」
騒がしい声が聞こえてくると思ったら先ほどの説明会で会場を壊してそのまま立ち去った少年がいた。
「もう行ったの?結城」 
結城は三屋よりも階級は高い。だが結城と三屋は同級生だ。もともとの性格からあまり敬語を好きとしない結城はタメ口の方が心地が良い。そのことを汲んでのタメ口だった。
「あー、報告は氷室に投げたわ。俺ああいうの好きじゃないんだよねー」
ああいうの、とは上層部の雰囲気のことだろう。上層部の人々は常にピリピリとした緊張感に包まれている。結城はそこにいると息ができないような気がするのだ。

「それより三屋ー、有望株いたー?」
三屋は少し考えた。説明会ではあまり直接声をかけることはしない。だから何人かしか記憶に残ってはいなかった。
「特別『天才』はいなかったと思うけどなぁ。でもギフト量だけだから何とも言えない」
ふぅん、と興味のなさそうな返事をした結城はスマホをいじり始めた。私用のではない、庁専用のスマホを、だ。
「何か連絡があったのか?」
「いや別に。少しカラフル内でゴタついてるだけだから。っていっても朧のことだけどね」
他人事のように結城は言った。その様子を見て三屋は首を傾げた。
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