第2話

文字数 1,063文字

「あっれー、中島じゃん。こんなとこで何やってんのー?」
少年が顔を出した。中島や木目はこの少年が来たことにとてもびっくりしているようだ。
「結城、お前こそどうした?こんな場所で」
結城、と呼ばれた少年は少し目を外に向けた。「え?何って、決まってんじゃん。防衛任務だよ。防衛任務」
余計に驚いた二人は隊員たちを守ろうとした。「お前がいるってことは、いるんだな。メーカーが」
「いるよ~、もう来る。ほら」
結城がそういった瞬間、穴の開いた天井からロボットとしか言えないような、不気味なものが降ってきた。
「サブ(物質防御壁)展開」
結城が何かを言うと、新隊員の頭上に薄い、本当に薄い緑色で透明な板が現れた。
「うわ、なんだこれ」
「ギギギ、ゲゴ、ガガガガ」
言葉ではないものを発しながら、それは結城の方へと向かっていった。防御壁の影響でそれは隊員に近づくことができないのだ。
「来いよ、デカブツ。俺様直々にお相手してあげるぜ」
木目は頭を抱えた。結城が本気を出せばここ一帯は消え去るのだ。
「結城、今日の任務はどういうことなんだ?まさか指令ではないだろう?」
ああ、といった感じで結城は答えた。
「そういえばなんか捕獲して来いって言われたんだよな。氷室に」
これを聞き、木目は結城に聞いた。
「その氷室はどこ行ったんだ?結城より捕獲はうまいだろう」
「ん~、どこだろね。気づいたらいなくなってたんだよな、あいつ」
木目はもっと頭を抱えてしまった。結城はギフトの制御がそこまでうまくはない。捕獲を命令されても殺してしまうのだ。

「これ、なんだろな」
隊員の一人が防御壁にさわった。その瞬間、ロボットからの斬撃が飛んできた。
「うわっ」
隊員は悲鳴を上げた。指が裂けたのだ。
「何やってんだよ。お前らサブ知らねえのか?」
「こいつらは新隊員だ。専門用語はまだ教えていない」
木目がそういうと結城の動きが止まった。
「いや、俺付与知らねえし、出来ねえし。氷室が来るまで待つんだな」
指が裂けた隊員は今にも失神しそうなほどショックを受けていた。
「ああもう面倒くせえなあ。もう殺していいか?」
「だめだ!氷室に言われたんだろう?捕獲しろと、」
ギリギリで結城は細く、鋭くなったギフトを止めた。
「でもよお、隊員の方が大事じゃねえの?あいつ死ぬかもよ」
木目は判断が難しかった。隊員ももちろん大事なのだが氷室は大事なことしか言わない。氷室の言っていたことを守らないと何がどうなるかわからないのだ。
「それは・・・」
木目の判断が遅かったからだろう。結城はもう殺すことにした。
「俺は人間の方が大事だ。だから殺すぞ」
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