第4話

文字数 1,584文字

 「おいおい、あいつら本当に帰りやがったぞ木目」
中島は二人の走り去る姿を見て頭を抱えた。今日はよく頭を抱える日だ。
「そうみたいですね。ではこちらは入隊式(入庁式)を続行するか」
木目はすぐに頭を切り替え、まだ固まっている隊員たちに目を向けた。
「続けるぞ。
 今の戦闘でいろいろと専門用語が出てきたな。その専門用語をマスターしなければ戦闘には出れない。だから理解度を元にレベル分けし勉強をする。ここからは、三屋。頼んだ」
先ほど、ギフト操作のためにパソコンをいじっていた三屋が顔を上げた。
「皆さん、こんにちは。え~っと、機械いじりが大好きな三屋です。これから皆さんに専門用語やココで生きていくための秘訣を教えたいと思います。どうぞよろしく」
一見性別が分からない三屋は中世的な声をしていた。
「まずクイズを出します。お手元に入場時配られたスマホのようなものはありますか?」
新隊員は自分の手の中にあるスマホの形をしたものを取り出した。
「このスマホにはこれからクイズが出題されます。わからないものがあったらわからないと正直に答えてください。ここで勉強を疎かにしてしまっては上に上がることはできません」
スマホのホームボタンを押すと中に選択肢が三つ。
一つ目は「私は専門用語が完璧なはずだ」二つ目は「だいたいのことは分かるだろう」三つ目は「全く分からないだろう」
それぞれの選択肢を選ぶとその級に合った問題が始まる。ここで間違えまくると下の問題が始まるのだ。

2⃣あなたはサブジェクトを知っていますか。
①知っている ②知らない ③聞いたことはある

といった具合だ。最終的にはスコアが発表される。
「スコアが低くても恥ずかしいことはありません。普通に生きていたら知ることの無い単語ばかりだから。」
三屋は毎回スコアを盛って答える人がいることを知っていた。
「ではまず。0点から20点の人~、あそこにいる職員について行ってください」
過半数の人がこれに当てはまる。このスコアの人は手を挙げている職員の方へと進んでいった。
「次に21点から40点の人!あの人について行ってください」
先ほどとは対角線上にいる職員のことを指した。
「次に41点から60点の人。あっちの人について行ってください」
ここまで来ると10人くらいしか残らない。親も隊員の人くらいだ。
「では61点から80点の人、あちらへどうぞ」
今回は極めて珍しいことに81点以上の人が三人もいた。


「最後に、あなた方三人は専門用語がパーフェクトのようだから、ギフト操作の練習に入ってしまいましょう」
ギフト操作は天性の感覚がない限り、使いこなすには一週間を要する。練習あるのみだ。
「まずはギフトの感覚を覚えてもらいます」
そう言った三屋は壇上から飛び降り、四人で手をつなぎ円を作った。
「右手にギフトを流すよ。右の人がそれを感じたら、また右の人に流しましょう。ゴールは自分に戻ってくるまでです」
三屋が隣にいる高校生ぐらいの男の子にギフトを流し込んだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ビックリしたのか、男の子はしりもちをついてしまった。
「これはすごいね。最初に感覚をつかめるのは結構な才能があるよ」
男の子はしりもちをついてしまった恥ずかしさよりも褒められた嬉しさの方が勝った。
そしてまた右の女子に流し込もうとした。
「ああ、待って待って。それじゃあ手のひらを通ってないよ。気体っぽくなっちゃってる」
三屋はギフトを目で見れるのだ。
「えっと?」
わからないのか、男子高校生は首を傾げた。
「う~んとね。ギフトっていうのは気体、固体、液体に変えられるんだ。戦闘のときは個体が主だけどね」
わからないのか、わかったのか。不思議な返事をした。
「こう?」
「そうそう」
今度は成功したようだ。だが隣の女の子はわからない。
「君は成功しているよ。隣の子が感じ取れてないだけ」
三屋がそう言うと女の子は赤面した。
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