おらが朽木の足もとに ――朽木市に伝承する童唄――

文字数 1,776文字

※作者から

 本編(ほんぺん)におけるネタバレを多分(たぶん)(ふく)みますので、じゅうぶんご留意(りゅうい)ください。

   *

おらが朽木(くちき)(あし)もとに ――朽木市(くちきし)伝承(でんしょう)する童唄(わらべうた)――




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

はじめの地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは万宝寺(ばんぽうじ)

八面和尚(はちめんおしょう)のいぬること
すぐさま(きた)奥原(おくはら)

あの大槐(おおえんじ)()らせねば
槐翁御爺(かいおうおんじ)に知らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

(つぎ)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは奥原(おくはら)

槐翁御爺(かいおうおんじ)()いたこと
すぐさま(きた)打鞍(うちくら)

あの鬼童(おにわろ)()らせねば
鬼熊童子(おにくまどうじ)()らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

(つぎ)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは打鞍(うちくら)

鬼熊童子(おにくまどうじ)()いたこと
すぐさま(ひがし)石神(いしがみ)

あの化燈籠(ばけどうろう)()らせねば
厨子王丸(ずしおうまる)()らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

(つぎ)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは石神(いしがみ)

厨子王丸(ずしおうまる)()いたこと
すぐさま(ひがし)三日干(みかぼし)

あの山蛭(やまびる)()らせねば
大鎚御前(おおづちごぜん)()らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

(つぎ)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは三日干(みかぼし)

大鎚御前(おおづちごぜん)()いたこと
すぐさま(みなみ)清水(きよみず)

あの大蟹(おおがに)()らせねば
嘉十郎(かじゅうろう)()らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

(つぎ)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは清水(きよみず)

嘉十郎(かじゅうろう)()いたこと
すぐさま(みなみ)一色(いっしき)

あの蛞蝓(なめくじ)()らせねば
邪魅太夫(じゃみだゆう)()らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

(つぎ)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは一色(いっしき)

邪魅太夫(じゃみだゆう)()いたこと
すぐさま西(にし)二本松(にほんまつ)

あの山椒魚(さんしょううお)()らせねば
外法坊(げほうぼう)()らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

(つぎ)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは二本松(にほんまつ)

外法坊(げほうぼう)()いたこと
すぐさま(きた)佐倉殿(さくらどの)

あの赤躑躅(あかつつじ)()らせねば
閻魔躑躅(えんまつつじ)()らせねば




おらが朽木(くちき)(あし)もとに
地虫(じむし)九匹(きゅうひき)()いよって

最後(さいご)地虫(じむし)()うことにゃ
おらが()っこは佐倉殿(さくらどの)

閻魔躑躅(えんまつつじ)()いたこと
ああ 知らせねば 知らせねば

御方様(おんかたさま)()らせねば
魔王桜(まおうざくら)方様(かたさま)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み