第8話 ヤバいウサギ屋さん
文字数 1,135文字
休み時間と同時に、おれの席に同級生である杜若水姫が駆け寄ってきた。
「ねぇ、萌木!」
「なんだ、水姫」
「株式会社USAGI、をつくったのよ。へへーん、すごいでしょ」
「意味がわからないことしかわからないのだが。説明してくれるとありがたい」
「あたし、ヤバいシャツのウェブショップを開いたの!」
「ああ、そのシャツ屋の名前が株式会社USAGI、なのか」
「そう! 話早くて助かるわぁ〜ん、ねぇ、萌木」
「買わない」
「へ?」
「おれは水姫がデザインした服など買わない」
「ひっどーい、まだ見てもいないでしょうに!」
「おまえなぁ、高校三年のこんな時期にそんなことやっててどうするんだ? 服飾に進むなんて聞いてないぞ」
「聞いてないでしょうよ、だって言ってないもん」
「は? 服飾の方へ進むのか?」
「うっそぴょーん。シャツ屋は遊び」
「はぁ、そんなことだろうと思ったよ」
「でも、萌木さぁ。あんた、あたしじゃなく、生徒会長の斎藤めあがシャツ屋開店したら、服を買ったでしょ」
「さぁな」
「うっそだぁ。絶対買うよ」
「どうしてそう思うんだ?」
「うっ……。えーっと、その、ね。あー、もう、なんでそんなこといわなくちゃならないの!」
水姫の平手打ちが飛んできた。
痛いし、理解不能だ。
「めあとあたし、どっちを取るの!」
「どうしてそうなった……」
「あ、いやいやいやいやいや! そういう意味じゃなくて、シャツの話ね。あたしとめあの服、どちらを取る?」
「めあはヤバいシャツ屋はやってないだろ。わかった、買うよ、そのウェブショップで」
「毎度ありぃ! あたしの勝ちね!」
「おれに買ってもらって勝ったってか」
「そーじゃなくて! めあに勝ったのよ! ふふん!」
「なにがにやら」
と、そこに斎藤めあが現れる。
「ねぇ、萌木!」
「なんだ、めあ」
「株式会社KAME、をつくったのよ。ふっふっふ、すごいでしょ」
「意味がわからないことしかわからないのだが。説明してくれるとありがたい」
「あたし、ヤバいシャツのウェブショップを開いたの!」
「ああ、そのシャツ屋の名前が株式会社KAME、なのか」
「そう! 話早くて助かるわ! ねぇ、萌木」
「買わない」
「へ?」
「おれはめあがデザインした服など買わない」
「ひっどーい、まだ見てもいないでしょうに!」
「おまえなぁ、高校三年のこんな時期にそんなことやっててどうするんだ? 服飾に進むなんて聞いてないぞ」
「聞いてないでしょうよ、だって言ってないもん」
「は? 服飾の方へ進むのか?」
「うっそだよーん。シャツ屋は遊び」
「はぁ、そんなことだろうと思ったよ」
「で? 買うの?」
「馬鹿ばかりだな」
おれには水姫とめあは深いところで同じ思考様式を持っていることがわかっただけだった。
はぁ。
早く部活の時間が来ないかな。
「ねぇ、萌木!」
「なんだ、水姫」
「株式会社USAGI、をつくったのよ。へへーん、すごいでしょ」
「意味がわからないことしかわからないのだが。説明してくれるとありがたい」
「あたし、ヤバいシャツのウェブショップを開いたの!」
「ああ、そのシャツ屋の名前が株式会社USAGI、なのか」
「そう! 話早くて助かるわぁ〜ん、ねぇ、萌木」
「買わない」
「へ?」
「おれは水姫がデザインした服など買わない」
「ひっどーい、まだ見てもいないでしょうに!」
「おまえなぁ、高校三年のこんな時期にそんなことやっててどうするんだ? 服飾に進むなんて聞いてないぞ」
「聞いてないでしょうよ、だって言ってないもん」
「は? 服飾の方へ進むのか?」
「うっそぴょーん。シャツ屋は遊び」
「はぁ、そんなことだろうと思ったよ」
「でも、萌木さぁ。あんた、あたしじゃなく、生徒会長の斎藤めあがシャツ屋開店したら、服を買ったでしょ」
「さぁな」
「うっそだぁ。絶対買うよ」
「どうしてそう思うんだ?」
「うっ……。えーっと、その、ね。あー、もう、なんでそんなこといわなくちゃならないの!」
水姫の平手打ちが飛んできた。
痛いし、理解不能だ。
「めあとあたし、どっちを取るの!」
「どうしてそうなった……」
「あ、いやいやいやいやいや! そういう意味じゃなくて、シャツの話ね。あたしとめあの服、どちらを取る?」
「めあはヤバいシャツ屋はやってないだろ。わかった、買うよ、そのウェブショップで」
「毎度ありぃ! あたしの勝ちね!」
「おれに買ってもらって勝ったってか」
「そーじゃなくて! めあに勝ったのよ! ふふん!」
「なにがにやら」
と、そこに斎藤めあが現れる。
「ねぇ、萌木!」
「なんだ、めあ」
「株式会社KAME、をつくったのよ。ふっふっふ、すごいでしょ」
「意味がわからないことしかわからないのだが。説明してくれるとありがたい」
「あたし、ヤバいシャツのウェブショップを開いたの!」
「ああ、そのシャツ屋の名前が株式会社KAME、なのか」
「そう! 話早くて助かるわ! ねぇ、萌木」
「買わない」
「へ?」
「おれはめあがデザインした服など買わない」
「ひっどーい、まだ見てもいないでしょうに!」
「おまえなぁ、高校三年のこんな時期にそんなことやっててどうするんだ? 服飾に進むなんて聞いてないぞ」
「聞いてないでしょうよ、だって言ってないもん」
「は? 服飾の方へ進むのか?」
「うっそだよーん。シャツ屋は遊び」
「はぁ、そんなことだろうと思ったよ」
「で? 買うの?」
「馬鹿ばかりだな」
おれには水姫とめあは深いところで同じ思考様式を持っていることがわかっただけだった。
はぁ。
早く部活の時間が来ないかな。