岡目八目
文字数 1,114文字
少年野球大会の決勝戦は接戦で、0対0の同点のまま最終回ウラの攻撃。
先頭打者の石田くんが四球で一塁に出塁し、次のバッターの月野くんが打席の入ったのだが、草津監督から送りバントのサインが出ていた。
しかし
"打てるはずだ。そうとも絶対打てる。"
バッターボックス内の月野くんには、なんかよくわからない自信があった。
相手投手が月野くんに第一球を投じたその直後、月野くんのバットが火を吹き、その打球は外野の頭を越して遥か遠くの草むらのなかに吸い込まれていった。
サヨナラツーランホームランだった。
月野くんがダイヤモンドを回ってホームベースを踏み、審判団が試合の終了を告げた。
感動の最後のように思われた試合だったが、終了後のチームミィーティングで、監督の草津が保護者もいるにもかかわらず話し始めた。
「優勝おめでとう。しかし試合には勝ったが、このチームのみんなに話さなくてはならないことがあります。チームプレイに反し、バントのサインを無視した、自己中心的なプレイをした選手がいたことです。結果としてホームランを打てたからよいもののチームの和を乱したことは大いに反省する余地があると思われます。」
名前こそ出しませんでしたが、月野くん以外に、そんな人はいませんので、それを聞いた月野くんは涙を浮かべて今にも泣き出しそうです。
それを聞いていた四球で出塁していた石田くんが
「監督、チームを勝たせたヒーローを大勢の前でバッシングするようなら野球なんて終わっています。野球を辞めてサッカーチームに入ります。」
と言い出し、周囲の子供たちも
「そうだ。そうだ。野球なんて辞めてやる。」
と言い出してしまいました。
周囲の保護者たちもザワザワと騒ぎ始めたとき、
「野球が終わってんじゃなくて監督のテメェが終わってんだ。」
月野くん・石田くんたちが振り向くと坂江くんのお父さんがそう声を上げていました。
「ノーアウト一塁から打たせるのも、バントで送ってワンアウト二塁から打たせるのも得点確率はほとんど変わらない。だからホームランを打つのがチームワークともいえる。にもかかわらずバントばかりさせていて、打撃させなければ野球嫌いにもなるわなぁ。こんな監督のチームでなくて、俺が監督の新しいチームを作るからそのチームでみんな野球やることにしたらいいよ。」
そう坂江くんのお父さんが続けたのを聞いて、
「俺、坂江くんのお父さんのチームでホームランたくさん打ってチームに貢献するよ。」
と月野くんがみんなに言いました。
その後、他のチームメイトも月野くんと一緒に坂江さんチームに移籍して野球を楽しんでいるようですよ。
岡目八目。
第三者的な人間にしかその状況が正しく把握できないこともありますからねぇ。
先頭打者の石田くんが四球で一塁に出塁し、次のバッターの月野くんが打席の入ったのだが、草津監督から送りバントのサインが出ていた。
しかし
"打てるはずだ。そうとも絶対打てる。"
バッターボックス内の月野くんには、なんかよくわからない自信があった。
相手投手が月野くんに第一球を投じたその直後、月野くんのバットが火を吹き、その打球は外野の頭を越して遥か遠くの草むらのなかに吸い込まれていった。
サヨナラツーランホームランだった。
月野くんがダイヤモンドを回ってホームベースを踏み、審判団が試合の終了を告げた。
感動の最後のように思われた試合だったが、終了後のチームミィーティングで、監督の草津が保護者もいるにもかかわらず話し始めた。
「優勝おめでとう。しかし試合には勝ったが、このチームのみんなに話さなくてはならないことがあります。チームプレイに反し、バントのサインを無視した、自己中心的なプレイをした選手がいたことです。結果としてホームランを打てたからよいもののチームの和を乱したことは大いに反省する余地があると思われます。」
名前こそ出しませんでしたが、月野くん以外に、そんな人はいませんので、それを聞いた月野くんは涙を浮かべて今にも泣き出しそうです。
それを聞いていた四球で出塁していた石田くんが
「監督、チームを勝たせたヒーローを大勢の前でバッシングするようなら野球なんて終わっています。野球を辞めてサッカーチームに入ります。」
と言い出し、周囲の子供たちも
「そうだ。そうだ。野球なんて辞めてやる。」
と言い出してしまいました。
周囲の保護者たちもザワザワと騒ぎ始めたとき、
「野球が終わってんじゃなくて監督のテメェが終わってんだ。」
月野くん・石田くんたちが振り向くと坂江くんのお父さんがそう声を上げていました。
「ノーアウト一塁から打たせるのも、バントで送ってワンアウト二塁から打たせるのも得点確率はほとんど変わらない。だからホームランを打つのがチームワークともいえる。にもかかわらずバントばかりさせていて、打撃させなければ野球嫌いにもなるわなぁ。こんな監督のチームでなくて、俺が監督の新しいチームを作るからそのチームでみんな野球やることにしたらいいよ。」
そう坂江くんのお父さんが続けたのを聞いて、
「俺、坂江くんのお父さんのチームでホームランたくさん打ってチームに貢献するよ。」
と月野くんがみんなに言いました。
その後、他のチームメイトも月野くんと一緒に坂江さんチームに移籍して野球を楽しんでいるようですよ。
岡目八目。
第三者的な人間にしかその状況が正しく把握できないこともありますからねぇ。