#04-02  この世のルール ② 起因の区分

文字数 757文字

 



 この世では、幽体について、以下の区分が為されている。



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通常型 【 つうじょうがた 】
不明型 【 ふめいがた 】
被害型 【 ひがいがた 】
突発型 【 とっぱつがた 】
大悟型 【 たいごがた 】
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 通常型とは、家族や友人に看取られながら死を迎えたひとのことを指す。不明型とは、通常型とは逆に、孤独な死を迎えたひとのことを指す。被害型とは、第三者の手によって殺害されてしまったひとのことを指す。突発型とは、どのような状況下であれ、とにかく即死だったひとのすべてを指す。大悟型とは、死ぬ直前までのうちに()()()()()()ができていたひとのことを指す。

 これらの区分をだれが決定するのかというと、日本のこの世を統治する政府『幽体協同組合(ゆうたいきょうどうくみあい)』──略して『幽協』だ。

 区分の決定順序としては、まず最初に、突発型か否かの判断からはじまる。これが「否」だった場合、つぎに被害型か否かの判断へと移行する。これも「否」だった場合、通常型か不明型かの最終審査にて区分完了(コンプリート)。ただし、大悟型だけはこのフローチャートの対象とはなっていない。なぜならば、大悟型は滅多に出現しない幽体だから。いちおう、万が一のために突発型と同系列に並べてはいるものの、実際に審査対象となることは稀なのだそう。大悟型が滅多に出現しない理由は、まぁ、なんとなくわかるような気がする。

 で、じつは、私は突発型だった。まさかまさかの即死だった──脅すだけのつもりだったのにな。

 あ、あと、もちろんテトさんも突発型。

 ちなみに『起因(きいん)』とは、あの世でいうところの「死因」のこと。とはいえ、あくまでも役所機関における書類上の用語にすぎず、日常的に飛び交う言葉ではない。



 
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