第12話

文字数 1,694文字

『もしもし神様』

わたしは、あなた様の何番目の子供かは、存じ上げておりませんが、息子のアミュースケールと申します。
いつもお世話になっております。

あなた様はお元気でらっしゃいますか?

アミュースケールは、ほとんど元気に生活させて頂いておりますが、時々、どうしようもないほど、情緒不安定になり、落ち込んでしまうときがあります。

そんな時がありましたら、あなた様のことを思い、すがるように、あなた様のふところで、眠ってしまいます。

いつも受け止めて下さり、本当にありがとうございます。

人は皆、一様に、無防備なまでに、眠りに就きますが、わたしから観ましたら、人は皆、やがて眠りに就いてしまうということは、どんな人物であろうとも、無神論者であろうとも、あなた様に帰依していることの不動なる象徴のように思えます。どんなに恐ろしい殺人鬼でも、あなた様の前では、赤子のような、無垢で可愛らしい眠りに就くのです。

そして、あなた様は、大変恵み深き御方なので、あなた様の子供である、わたしたち人間が、生きることを楽しめるようにするために、様々な華麗なる仕掛けを御用意して下さいました。

それは、美しけれども厳かな豊穣なる自然であったり、恋人や友人、家族であったり、不可思議な語りかけであったり、と。わたしは、それらの種々をほんの少しだけ理解した気になって、種明かしをしたつもりになって、よろこんで、詩を詠んだり、絵を描いたり、発信したりしております。種明かしとは、この世界のありとあらゆること、全てが、あなた様からの愛と光の溢れる伝達であり、あなた様からの、もったいないほどのお食事であり、一人一人、ひとつひとつが、あなた様と、合一し、ひとつになるための、麗しい体験や経験をしている最中ということだったり、と、このような具合で、発表させて頂いております。

世間では、カルマの法則ということで、説かれているようですが、わたくしからすれば、その多くが説明不足なような気がするのです。カルマの法則とは、あなた様の元に、最後の一人まで、道に迷わず帰っていけるように、あなた様が痛切なまでの愛と慈悲により、莫大な生命エネルギーで用意して下さった、法則やルールなのではないでしょうか。ですから、カルマの法則とは、単なる行いや、行だけのスケールでは収まらないハズなのです。こういったあなた様のピッタリと寄り添って下さっている、計り知れない深い愛と憐憫(れんびん)を忘れて、多くの人間が、さも知っている者のように、語っていることに、わたしは、時おり、ショックを受けて、幻滅しております。

こんなことを話しております、わたしも、ごく限られたあなた様の愛や光しか、感じとれておりません。また、多くの人をガッカリさせてしまっていることでしょう。あなた様は、いつでも、計り知れない恵みを下さる御方です。

最近ふと思ったのですが、「なにも無くて、純度が高く、透明なもの」が、やはり、高尚なものに感じます。音楽や言葉においてもそうですが、空白や「無」という休符、沈黙が、全ての土台にありまして、そこから、やがて音が鳴り、時には彎曲(わんきょく)し、彩り豊かに響いているように、感じるからです。「無」や静寂のなかにこそ、高らかに燃え続け、清らかに躍動し、創造し続けている、あなた様の「有」を感じるのです。全ての根源である、ひとつなる沈黙の愛こそ、あなた様の、在り方のように、感じるのです。わたしくしアミュースケールは、あまりにも、人々が色が付いたものや、騒がしい音色ばかりに気を取られている様子を見て、時々、地震や嵐、雷のような、喝を入れたくなります。焦燥感にかられて、不足ばかりを柱とし、いつも満ち足りているあなた様の愛の大黒柱を、どうやら組み立てて、いかないようなのです…。 あ、そろそろ、時間が来てしまいました。

まことに、勝手ながら

また、あなた様に、お電話させて頂きます。

はい、かしこまりました。

手のかかる不束者ですが

今後も宜しくお願い致します。

はい…、はい。

いつもいつも

本当にありがとうございます。

あなた様も、御無理をなされないように…

お元気で!


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