第14話:京王線に進出と桜上水に工場

文字数 2,795文字

 そんな1985月年4月に三井銀行から電話がかかって来て相談したい事があるので今週の水曜日に来て欲しいと言われ出かけた。すると融資部長をはじめ6人のメンバーが集まり開口一番、部長が妻有の里の調理師さんが50人を越えたそうですねと言った。毎年、近郊の中学、高校、調理師学校から15人を採用していた。今後も更に増えるようですねと言った。

 そこで中央線沿線から今度、京王線沿線で商売してみませんかと話し出した。中央線沿線よりも周辺人口は多く今までよりも市場が大きいのは間違いない。更に言うと小田急線も近い。もし大きな工場を作るとしたら環状8号線の外側にいくつか貸し工場、倉庫が出ていると言った。京王線を攻略できれば今の2倍、6億、小田急線も攻略すれば10億円以上は堅い。

 どうですか、この作戦はと店長にたずねた。確かに言われることはわかりますが、ここまで順調にいきすぎて怖い位んなのに、そんな壮大な計画を言われても即答はできませんと言うと、わかりました調べ上げた資料を持って行ってよく検討して下さいと言、融資は5億円まで引き受けますよと言ってくれたので新工場を建設するので1億円の融資をお願いし了解してもらった。

 ともかく貴重な資料を調べてくれてありがとうと言い店長は店に戻った。店長は夢子と副店長を呼び今週水曜日4月25日半日でも良いから集まり相談したいと言われ了解した。水曜日、本店の個室で資料を3部コピーして夢子と副店長に渡して読んでもらうと副店長が良い話なので乗りましょう。調子が良い時に一気に妻有の里を拡大させようと言った。

 夢子は段階を踏んで着実に増やしていった方が失敗しないでするのではないかと言った。やるとしても今年は京王線沿線だけに絞りコックの卵を採用して毎年確実に20人以上の調理師を育て上げて店舗を拡大していくべきだと話した。店長が口を開いて責任者としては失敗が一番怖い、今までうまくいきすぎて心配だと本音を打ち明けた。

 副店長が、そんな弱気でどうするのと言ったが夢子は店長に気持ちは良くわかります。しかし今まで成功した事を積み重ねて着実に大きくしたい気持ちがわかった。来年は京王線沿線を攻めようと言った。ところで別館の工場部門は、そろそろ限界だろうと夢子に聞くと、その通りですと答えた。次工場を作るとしたら別館程度の施設をもう一つ作るか、

 または、立地の良い場所に今の規模の3倍の広い工場が欲しいと言った。店長が副店長に、この考え方で今年、京王線沿線、分倍河原、府中、調布、仙川、千歳烏山の5駅を攻略すると言う事で良いかなと副店長に聞くと多数決の原理で行くと、その意見になりますねと言い、この方針が決まった。副店長が借入金はどの位になるか聞いたので最初はおおよそ1億円。

 小田急線沿線攻略を含めると2億円とみてると答えた。次に京王線の分倍河原、府中、調布、仙川、千歳烏山の5つの駅前に店舗を捜そうと言った。それを聞いて夢子が最初は工場だと反論。工場を作って早く別館から製造工場に移す事とが先決と訴えた。この意見に副店長も夢子のも賛成。店長が夢子にスケジュールはと聞くと最初に大きな工場を探してもらう事が先決。

 その工場で効率的な製造ができる様に考えるべきだと語った。だから早く工場を探して欲しいと話した。工場の中の配置が決めて試験運転してどの位の速度で製品を作り出せるか試して徐々に製造を工場に移すようにすべきだと訴えた。店長が、夢子さんと別館のスタッフで計画して欲しいと言うと夢子が、やりますと言った。店長がこの話を全てノートに書き込んでいた。

 じゃー店舗探しは、いつ開始するのか聞いたので製造が完全に新工場に移ってからと言った。できるだけ早くして工場探しをしてと話した。この話が終わり店長が三井銀行に電話して融資の件1億円で、お願いしますと言い最初に京王線の沿線に5つの店舗を作り環状8号線の荻窪から八幡山あたりに貸し工場を借りるつもりですと言い契約書類を送ってくれるようにお願いした。

 その後、不動産屋に電話して環状8号線の近い所の貸し工場、貸倉庫を調べてもらうと世田谷区八幡山に212坪の倉庫が月80万円が出ているとの情報が入った。5月初旬に見学希望を出し夢子と副店長を同行して見てくると十分な広さがあった。そして天井、壁、床をきれいに洗えば使えると言われた。清掃業者を紹介してもらい清掃に5日、費用が10万円と言われた。

 その後、店長が不動産屋と賃貸契約を結ぶんだ。その話を夢子と副店長に話すと来週の木金を特別に休みにして社員全員と運送業者に別館の機械と工場に運んで計画にした。火曜の夜に別館の機械を洗った。5月第3週の水曜日の朝8時から社員を別館に集め機械の搬入と運送屋のトラックに分乗した。夢子は亭主の9人乗りハイエースを借りて社員を貸し工場に送り込んだ。

 機械の搬入は夢子と店長の指示の元に所定の位置に設置。搬入は午後17時に終了し材料も全て搬入が終了。そして夜20時に終了して明日は機械を試運転して実際に商品を製造する事にした。昨年購入した4tトラックとハイエースバンと夢子の家のハイエースで翌日は京王線の八幡山に朝8時に集合してもらいハイエース2台でピストン輸送で50人を工場に運び込んだ。

 元気な若者は徒歩20分で駅から工場まで歩いてもらった。翌日は店長と副店長と夢子が2台のハイエースに乗り従業員を工場に送り込んだ。9時に全員集まり作業台に鶏肉を並べてスパイスを混ぜ込んだり大きなバットに入ったダンドリーチキンを出したりした。また寒天を大きなたらいで作り始め、製造できるか問題がないか点検した。

 延長ホースや延長コード等、必要な備品を近くのホームセンタに買いに行き15時には点検を終えて問題ないと判明。次に作った商品を会社の2tロングトラックに積むテストをした。倉庫なので工場の高さがトラックの荷台と同じ高さになっており重たい物でも台車で運べることがわかった。その後、試しに店舗まで実際に走ってみて所要時間と行く道を確認した。

 立川方面は国道20号線で1時間かかり2tロングトラックがもう一台必要だとわかった。工場の広さは十分で以前の別館の施設の4倍以上の広さがあり駐車場も含めて十分な広さ。簡易トイレとシャワー設備を作れば工場の隅に12個の2段ベッドをおいて仮眠スペースもとれる。早速、知り合いの工務店に電話して2時間ほどで作ってもらった。

 工場の外にプレハブのトイレ男女別4つずつ計8つと4つのシャワーを至急つくってもらった。不動産屋さんが確認に来て、その時、最寄り駅を聞くと桜上水が近いと言われ1.5km徒歩10分とわかり今後、電車通勤できる事もわかった。若い人は徒歩で帰ってもらいハイエース2台でパートのおばさん達をのせて夢子も家に帰った。
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