クソみたいなご先祖様
文字数 1,565文字
一方、激しく動揺した際に、心の乱れ、隙を突かれたロマンジィンの魂。
両者の力関係は拮抗していた。
あんたには、あんたの命を生きる権利があるんだよ
そして、この言葉を何度も繰り返すことによって、ロマンジィン・ズウォーカーの言霊 縛りを破る強い思念のこもった言霊 にしようというのだ。
その魂の最期の葛藤に、愛倫 はもう一押しする。
『とっとと、くたばっちまえ、このクソジジイ』
少女の魂が、鋼のメンタルの強度を増せば増すほど、ロマンジィンの魂は追い詰められて行く。
魂の力関係、そのバランスは崩れて一気に逆転した。
ロマンジィンの魂は既に少女の魂と分離しはじめている。
人の命が軽過ぎる世界で、ずっと心を痛め続けて来た愛倫 にとって、この世界でそれだけは絶対に譲れない。
少女の魂と、ご先祖様の魂、それが完全に二つに分かれた時。
死神の大鎌が、ロマンジィンの魂だけを、少女の肉体から切り離す。