第3話
文字数 515文字
翌日、彼女は喫茶店に居た。そして、彼女との関わりに淡い期待を抱いていた俺に、彼女は話しかけた。
「あ、あの。昨日、ありがとうございました。」
「いえいえ。どういたしまして。」
沈黙が続いた。きっと数秒だが、とても長く感じたものだった。俺は意を決して、口を開いた。
「パソコン。」
「え。」
「パソコン、いつも使って忙しくされてますよね。何のお仕事されてるんですか。」
片言が口からこぼれ落ちた。彼女は答えた。
「へえ。そうなんですね。」
「はい。」
再び沈黙が続いた。大人になって数年経ったくらいの男女らしい、恥じらいと緊張を帯びた沈黙だった。
「お兄さんは、なんのお仕事。されてるんです。」
沈黙は破られ、俺の心では隠しきれない動揺と喜びが混ざり合い、少しずつ沸いて出た。
それから、二人は向かい合って座り、時間が許す限り、色々なことを話した。猫を飼ってるだとか、会社の上司の叱責をよく受けるだとか、本当に脈絡のない話だった。ぶつ切りにされたような会話でも、今の今まで覚えているほど、彼女との記憶は始まりから華やかで素晴らしいものだった。
この日だ。この日、俺は恋を自覚してしまった。そして、追ってしまったのだ。その最果てがこの青空だと知らずに。
「あ、あの。昨日、ありがとうございました。」
「いえいえ。どういたしまして。」
沈黙が続いた。きっと数秒だが、とても長く感じたものだった。俺は意を決して、口を開いた。
「パソコン。」
「え。」
「パソコン、いつも使って忙しくされてますよね。何のお仕事されてるんですか。」
片言が口からこぼれ落ちた。彼女は答えた。
「へえ。そうなんですね。」
「はい。」
再び沈黙が続いた。大人になって数年経ったくらいの男女らしい、恥じらいと緊張を帯びた沈黙だった。
「お兄さんは、なんのお仕事。されてるんです。」
沈黙は破られ、俺の心では隠しきれない動揺と喜びが混ざり合い、少しずつ沸いて出た。
それから、二人は向かい合って座り、時間が許す限り、色々なことを話した。猫を飼ってるだとか、会社の上司の叱責をよく受けるだとか、本当に脈絡のない話だった。ぶつ切りにされたような会話でも、今の今まで覚えているほど、彼女との記憶は始まりから華やかで素晴らしいものだった。
この日だ。この日、俺は恋を自覚してしまった。そして、追ってしまったのだ。その最果てがこの青空だと知らずに。