No.09『新緑は曇天にこそ映える』

文字数 1,626文字

今回もしつこく趣味の自然散策で考えた事を綴ります。

5月に入り本格的な新緑の季節になりました。
僕にとって最高の季節の到来です。

春に桜。夏に深緑。秋に紅葉。冬に雪。
四季折々に、木々は美しい姿を見せてくれます。

その中でも、僕は断トツに新緑の季節が好きです。




1年で最もテンションが上がる時期と言っても過言ではありません。
木々の先から一斉に芽吹く淡い緑の新芽や葉が、物凄く好きなのです。

もちろん、他の季節も大好きです。

春の桜。見た目の美しさに加えて、その期間限定の儚さはやっぱり毎年花見をせずにはいられません。散り際の桜吹雪さえも美しいです。

夏の深緑。青々と茂った木々の葉は強い日差しを遮る木陰を作ってくれます。そこから見上げる木漏れ日は、本当に美しいです。

秋の紅葉。赤、朱、橙、黄、と集団で魅せる色取り取りの美しさは絶景と呼ばれるものも多いと思います。モミジが舞い散る様は、趣もあって日本にピッタリです。

冬の雪化粧。晴天の日はキラキラ光を反射して光が咲いているようにみえます。小雪が舞う日は更に美しさを増します。

わかるわかる。
あなた達は十分に美しい。
あなた達を着飾るおかげで、木々は人々から愛されている部分も多いでしょう。

だがしかし!

僕は新緑こそが木々にとって最高の衣装だと思ってやまないのです。

確かに、桜も深緑も紅葉も雪も美しいし、僕も大好きです。

だがしかし!(2回目)

僕はもっと、世間の皆さんに新緑を愛でて欲しいのです。

確かに、見た目の派手さはありませんし、舞い散る儚さもありません。もちろん光を反射することも出来ません。

だがしかし!(3回目)

命の芽吹き。生命のエネルギー。
生まれたての柔らかい葉を見たり触ったりすると、それを感じられるのです。

小学生の頃に授業で朝顔を植えました。一人一人、自分のプランターに植えて成長を観察しました。自分のプランターで初めて土からフタバが顔を出した、あの時の感動。あれとよく似た感情です。

まさに生命のエネルギー。

「冬を越えたな。そろそろ起きるか」

冬枯れした木々がそう言ってるように感じるのです。

そして、新緑には他の季節(いしょう)達との大きな違いがあるのです。

それは、曇天にさえ映えるということ。
桜も深緑も紅葉も雪も、背景が晴天である時にこそ、最も美しく見えます。
「せっかく花見(紅葉狩り)に来たのに、あいにくの空模様で残念だなぁ」
そんな経験、誰でも一度はあるはずです。

だがしかし!(4回目)

新緑は、曇天でも映えるのです。いや、曇天にこそ映えると言ってもいいでしょう。

確かに、晴天の方が新緑も美しく見えるかもしれません。それは僕も同感です。
ですが、新緑のもつ生命のエネルギーを最も感じられるのは、曇天を背景にした時だと思うのです。

晴天に比べると、曇天は気分が落ち込みがちです。そんな時に芽吹き始めた新芽を目の当たりにすると、生命のエネルギーを晴天時の倍以上感じられます。

「……今日仕事行きたくないなぁ」

そんな曇天の気分で曇天の新芽を見ると……

「……俺も頑張るかぁ」

そんな気分になれるのです。
単純に、エネルギーをもらえるのです。

アスファルトの割れ目から花が一輪咲いていると、なんとなく勇気を貰えます。
「ああ、こんな境遇でもお前は頑張って咲いているんだなぁ」と。
別に花は頑張っているわけではなく、たまたまアスファルトの割れ目に種が飛んできただけなのかもしれませんが、それを見た人間が、勝手にそう感じる。それと同じような感覚です。

ただ曇天の中で新緑が芽吹いている。それだけのこと。
それでもそこに元気をもらえるのです。
それが、僕が新芽の季節が好きな最大の理由かもしれません。

もう少し続く、新緑のベストシーズン。
新緑のはあらゆる木々が主役になれる季節です。季節が過ぎれば、ただ通りすぎてしまうだけの名前も知らない木々にも足を止め、時間の許す限り生命のエネルギーを胸一杯に吸い込みまくりたいと思います。

新緑の万歳!

※これらは全て、個人の感想です。



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