No.10『夢の力は恐ろしい』

文字数 1,154文字

『夜の図書館』という、まだ途中の物語があります。

その中に、『夢の力』というタイトルの回があります。要は、いい夢を見るといい気分になるし、悪い夢を見ると嫌な気分になるという……ある意味当たり前な事を話している回です。

これまでも実際に似たような事を経験してきたのでそんな話にしました。

けれど、昨日見た夢ほど寝覚めが悪かった夢はありませんでした。

夢の中の僕は現実と同じ位の歳で、今の奥さんと結婚していました。
奥さんも現実と同じ位の歳で、現実と同じ位の歳の娘もいました。息子は……ちょっと覚えていません。ごめんなさい。

そこに、もう一人の男がいました。
男は、現実での僕の親友(既婚者)でした。

夢の中の僕は、奥さんを自分の妻だとちゃんと認識していました。
ところが、奥さんが僕の親友の隣に座って、肩を寄せ合っているのです。

「この人も夫だから、優しくしてあげないと」

そんな感じの事を言うのです。
その時、夢の中の僕は思い出します。

ああそうか、親友(こいつ)も奥さんの夫だった。

夢の中の世界は一妻多夫制でした。

よりによって、もう一人の夫が親友。寂しそうな顔で僕達家族を見ていた親友に、奥さんがそう告げて、隣に座り、肩を寄せたのでした。

この時の光景は、20時間も過ぎた今でも忘れていません。
この時の気持ちは、思い出したくもありません。

怒り。悲しみ。嫉妬。などなど…

負の感情が全部混ざったような、最悪の気分でした。
しかも相手が親友という事が、親友の寂しい思いを邪険にもできないという感情を生んで…
奥さんにそんな事して欲しくない。けど、親友の気持ちもわからなくもない。でも…

そんな事を考え始めた所で、目が覚めました。

久しぶりの悪夢でした。
遅刻する夢より、襲われる夢より、歯が全部抜け落ちる夢より、もっと怖い夢でした。

そして考えたのは、これは夢だけの世界じゃなかったという事です。

一夫多妻制。
一妻多夫制。

昔に限った話ではなく、今現在もそれが認められている国もあるでしょう。

夢であったとしても、僕にはそれが耐えられませんでした。
自分の好きな人が、違う人に自分と同じだけの愛情を注ぐ。それがこんなに苦しい事だとは思いませんでした。

正室、側室と呼ばれていた人達は、どんな気持ちで生きていたんだろう。
辛くなかったのか?
寂しくなかったのか?
逆に幸せだったのか?
そもそも好きなんて気持ちはなかったのか?
きっと僕なんかには想像もつかないような想い、感情があったに違いありません。本当に凄いと思います。

価値観はみんな違うものですから、それがいいとか悪いとか決めつける気はありません。"そういうルール"が出来た背景も、きっとあるのでしょうから。

ただ、自分はやっぱり一夫一婦制がいい。

そう思い知らされ、夢の力に翻弄された一日でした。
今日はいい夢が見れる事を願います。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み