No.05『続・お人形に感謝するのは親の方』

文字数 1,433文字

No.04で、娘のお人形について考えたことを記しました。

実は、お人形について考えたことがもうひとつあります。

去年のクリスマス前のことです。

娘と一緒に近所のおもちゃ屋さんに行きました。
そこで、数年前に我が家に迎えたお人形の新シリーズが発売していることを知りました。

棚にはたくさんの新しいお人形が並んでいました。

その脇には、"みほん"の印と共に、箱から出されたお人形がひとり。

"みほん"
"サンプル品"

おもちゃ屋さんに限らず、様々なお店でよく目にする光景です。

しかし、NO.4でも記したように、相手が人の形をしていると、つい感情が動いて考え過ぎてしまいます。

このみほんのお人形は、最終的にはどうなってしまうんだろう、と。

最終的にというのは、みほんとしての役割を終えたら、という意味です。

売れ残った未開封の箱のお人形は、セールで安く売られたり、バザーや施設に寄付。なんて道もあるのかと想像してしまします。

しかし、一度箱から出され、たくさんの人の手に触れたみほんのお人形は、それと同じ道を歩めるのかな、と。

やっぱり人形供養だろうか、と。

娘にお人形を買った時、僕達は実際にみほん人形を手に取ったのか、覚えていません。
けれど、もしも隣にみほん人形があったなら、きっと間違いなく手に取ったでしょう。

手にとって、触って、柔らかさや重さをチェック。娘にも同じことをさせてみる。

どうする?このお人形にする?

うん!これにする!

それじゃあ、隣の箱の子、貰っていこうか。

必ず、そうしていたはず。

そんなやり取りが、何回このみほん人形の前で繰り返されたのだろう。この子はどんな気持ちで、それと向き合ってきたんだろう。

ディズニー映画の観すぎだろうかと、思わず自分を疑ってしまいます。

この箱の子達が、いろんな家庭にもらわれていくのは、このみほん人形のお陰なんだ。そう考えると、いたたまれない気持ちになるのです。

娘と自分がお人形にたくさん助けてもらってきたからこそ、この"みほん"という役割の偉大さを感じてしまうのです。

どうすれば、このみほん人形に感謝を伝えられるのか。誰からも頼まれてもいない事を勝手に考えてしまいます。

僕が何もしなくても、きっと店員さんは心を込めて供養してくれるのでしょう。それでも、何もしないのも嫌なのです。

全ては思い込みと自己満足。それは十分にわかっています。

お金を生み出すことはできませんが、僕は物語を書くのが好きです。

"みほん人形を題材にした小説コンテスト"
"みほん人形に感謝状コンテスト"

どこかの企業さんがそんなコンテストを開催してくれたら、全力で参加したいのですが、恐らく難しいでしょう。

なので、僕にできることは、この場をお借りしてみほん人形の有り難さを書き記すことだと考えました。

そして、運良くおもちゃ屋さんの方が目にしてくださったなら、どうか僕の分も一緒に気持ちを上乗せして供養していただければ幸いです。

そして、本当はみほん人形を主役にした物語を考えてはみたのですが、未だに納得のいく物語を作れないでいる僕の代わりに、いつかどなたかが素晴らしい物語を考えて、世に広めてくださればいいなとも、さりげなく思っています。

みほんちゃん、本当にありがとう。

あなたのお陰で、娘はお人形に出会えました。

我が家に来てくれたお人形が幸せだと感じてくれているかはわかりませんが、彼女がいるおかげで、娘の人生が豊かなものになったことは間違いありません。

心から感謝します。

本当に、ありがとう。
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