第7話 生存競争

文字数 961文字

山籠もり3日目が始まる。
今日も素振りから始まる。
刀は昨日よりは馴染む。それでも普段の木刀でやっているような鋭さは見られない。
枝などでも試し切りを行い、より実践的な訓練を行う
そして川浴び、食料探索と続く。そしてそれもまた昨日と同じような結果であった。
4日目、5日目...そして7日目まで同じような日々が続く。
「(刀は確実に手になじんできている...しかし何だろうこの進歩していない感覚は)」
練習用に使っていた刀は刃こぼれがしてきている。
「(狩りに使うときはこの刀は使わない方がよさそうだな)」
過ぎていく日々に八作は気づかずに焦りを感じていた。
肉を得るため動物がいないか気を張って周囲を見るようになった。
時折見かけることはあったが、日に日に遠くの方で逃げられることとなり捕らえられずにいた。



そして7日目にして持ってきた食材は尽きることとなった。




8日目。
持ってきた食料は尽きた。
これからは山で狩る必要がある。
いったん村に戻り食料を調達するという手もある。
だが山に籠もり野生の動物に負けない強さや精神力を鍛えるというのであればこれからが本番と考えた八作は山籠もりを継続した。
「(食料をしっかり調達しないとな...)」
いつもの通り素振りを終え、八作は水浴びをせず食料調達に出る。
周囲への気はしっかり巡らせながら動物がいないかとみているがどうにも見当たらない。
山菜はやはり豊富にあるが、穀物もなくなったのでこれからはより苛酷になることは目に見えて明らかであった。
そして、今日も動物を捕まえることはできなかった。

9日目。
今日も山菜。

10日目。
今日も山菜。

11日目
今日は朝から食料探し。しかし山菜

12日目
朝から探すか結局山菜

13日目
今日も朝から山菜を探す

14日目。
山菜を探す。

15日目。
久々に刀を持って素振りをする。だけど非常に重くうっかり岩の上に落とし刃がかける。
山菜。

16日目。


17日目。
洞穴の中で八作はうずくまる。
山菜はしっかり食べているはず。
しかしながら、体が重く出かける気が起きない。
日はのぼり、いつもなら食料探しに行く時間である。
そうでなくても昨日の残りはあるとはいえ、水は定期的に取っておく必要はある。
さすがに水がないのは危険と感じた八作は川へ向かうためゆっくりと立ち上がる。

洞穴から外を見ると、そこには一匹のウサギがいた。
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登場人物紹介

八作:武家屋敷に努める小姓。正式な武士ではないものの周りでは有名な強者として知られている

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