6章 第15話 陽気な質問者
文字数 2,161文字
「殺しの経験ね……」
アクイラはそう言ってアポーツで武器を呼び寄せた。
「あら、バット? ベースボールでも始めるのかしら?」
「ベースボール? なんだ?」
「この星のスポーツよ」
「ふーん」
「普段、武器を使用しないあなたが、それを持つとういう事は本気と言う事かしら?」
「……」
ラートルの質問にアクイラは答えず、右手に持っているバット型の鈍器の先端を右肩に乗せた。次の瞬間、ラートルを殴りつけた。
(速い)
アクイラの身のこなしは人間をはるかに凌駕していた。あっという間にラートルまでの距離をあっさりとつめた。
そして、アクイラは躊躇せず、バットでフルスイングした。
「いきなりなんてひどいわね」
ラートルは影で作られた壁で、アクイラの一撃を防いだ。
「ふん」
アクイラはそのまま、持っている鈍器の打撃をラートルに何度も繰り出す。すべて躊躇ない一撃である。身のこなしも普通の人間には捉えきれない動きだ。
しかし、その一撃、一撃をラートルの影がふさいでいく。
「さすがブーステッドヒューマン。動きが人間を凌駕してるわね」
「けっ、よく言うぜ……。 !?」
いつの間にか、アクイラの足首に影が巻き付いている。アクイラは、飛んでその足首の影から逃れた。
「ふふ。良く気づいたわね」
「一度、経験してるからな」
「それは影そのもの、経験してても気づくのは至難の業のはずなんだけど。あなたも、とんでもないわね」
「そりゃどうも。サモンファミリア」
アクイラはそう言うと、アルタイルに乗った。
「うふふ。空中に逃げる……。まあ、影から逃げるにはそうだよね」
(奴のファミリア、エクスプローはどこだ?)
アクイラは空から探すが、それらしい物体を見つけられない。
(ちっ。影で本体自身を隠してやがる。思った以上に厄介な能力だ)
エクスプローを探すあいだ、ラートルもサイコキネシスで空を飛んでくる。
「エクスプローばっかり探して、私の方は構ってくれないのね」
ラートルがそう言ったかと思ったら、ラートルの左腕が伸びた。
「な!? しまっ……」
伸びた左腕の手がアクイラの首をつかんだ。腕が縮んでアクイラはラートルのそばまで呼び寄せられた。
「油断大敵ね」
「ぐうう……」
ラートルはアクイラの首を思った以上に強い力で締め付ける。アクイラですら、この手を振りほどけなかった。
「マスター」
アクイラのファミリア、アルタイルがアクイラを救おうとラートルへと突撃してくる。しかし、その攻撃はフィールドによりラートルまで届かなかった。
「良いファミリアね。でも……」
ラートルが指を鳴らすと、地面から巨大な黒い影がアルタイルをつかんだ。まるで巨大な大きな黒い腕だった。
「く、あ、アルタイル……」
「残念。マーテリアの作った物質みたいみなも特殊なものは除いて、ファミリアの攻撃は本体には届かないからね」
「ぐ、くうう……。こ、この女ぁ」
以外な力でアクイラの首を絞めるラートル。
「あなたと星辰君の恋愛模様をもう少し観察したかったけど、仕方ないわね。ここで縊 り殺すことにしようかしら?」
「この、観察だと!?」
「そうよ。なぜ、星辰君とあなたを一緒にテーゲ星に飛ばしたのか知りたい? まあ、そんなにたいしたことじゃあないわ」
ラートルはそう言うと、またフフと笑った。
「星辰君の身の回りに同年代の女の子が一緒にいたら、どんな影響があるか知りたかったのよね。でも、普通の地球人の女の子だと普通すぎて刺激が少ないかもしれない。実際、クラスメートの女の子では、星辰君に特筆すべき変化が無いようだったし」
「それで、アタシを……」
首を絞められ息も絶え絶えになりながらも、ラートルに答えるアクイラ。
「そう、宇宙人で超能力が使える貴方は、この観察にうってつけだったわ。これは妹のウルラちゃんでも良かったけれども、直感的に貴方の方が良いと思ったのよ。観察としては、それなりの成果かしら? それなりに星辰君に影響があった様だしでも、この実験で大きく変わったのは星辰君よりもあなたの方かもだけど」
「!」
「ふふ。星辰君はどうだった。いつも優しかったでしょう? 彼はそう言う風に創られているから……。彼は他人にとっても優しいの……」
「お、おまえ、やっぱり……。星辰の事を知っていたんだな……」
「さて、どうかしら? それより同年代の男の子に優しくされるのは初めてだったの? いつも優しくされて嬉しかった? 優しくされていく内にどんどん好きになっていったの? 安らぎとか感じたのかしら? それで、もう星辰君にぞっこんなんだよね? ふふ、かわいい娘。やっぱり殺すのは少し惜しいかしら……」
ラートルはアクイラの質問には答えず話を進める。アクイラの首は絞めつけたままだ。
「こ、このやろう……」
「あらあら、ごめんなさい。これじゃ、質問に答えられないよね?」
だがラートルはそう言いながら、首を絞めつける力を緩めない。
「だれが、そんな答える訳……」
「そうよね。首を絞めてる相手に答える訳ないよね……。だったらやっぱり殺そうかしら?」
また首を絞める力が増す。
「ぐ、ああ……」
「貴方の死体を星辰君の前に転がしたらどうなるのかな? どんなリアクションかしら? 今から、とっても楽しみね……」
そう言うとラートルはアクイラの首をさらに絞めつけた。
アクイラはそう言ってアポーツで武器を呼び寄せた。
「あら、バット? ベースボールでも始めるのかしら?」
「ベースボール? なんだ?」
「この星のスポーツよ」
「ふーん」
「普段、武器を使用しないあなたが、それを持つとういう事は本気と言う事かしら?」
「……」
ラートルの質問にアクイラは答えず、右手に持っているバット型の鈍器の先端を右肩に乗せた。次の瞬間、ラートルを殴りつけた。
(速い)
アクイラの身のこなしは人間をはるかに凌駕していた。あっという間にラートルまでの距離をあっさりとつめた。
そして、アクイラは躊躇せず、バットでフルスイングした。
「いきなりなんてひどいわね」
ラートルは影で作られた壁で、アクイラの一撃を防いだ。
「ふん」
アクイラはそのまま、持っている鈍器の打撃をラートルに何度も繰り出す。すべて躊躇ない一撃である。身のこなしも普通の人間には捉えきれない動きだ。
しかし、その一撃、一撃をラートルの影がふさいでいく。
「さすがブーステッドヒューマン。動きが人間を凌駕してるわね」
「けっ、よく言うぜ……。 !?」
いつの間にか、アクイラの足首に影が巻き付いている。アクイラは、飛んでその足首の影から逃れた。
「ふふ。良く気づいたわね」
「一度、経験してるからな」
「それは影そのもの、経験してても気づくのは至難の業のはずなんだけど。あなたも、とんでもないわね」
「そりゃどうも。サモンファミリア」
アクイラはそう言うと、アルタイルに乗った。
「うふふ。空中に逃げる……。まあ、影から逃げるにはそうだよね」
(奴のファミリア、エクスプローはどこだ?)
アクイラは空から探すが、それらしい物体を見つけられない。
(ちっ。影で本体自身を隠してやがる。思った以上に厄介な能力だ)
エクスプローを探すあいだ、ラートルもサイコキネシスで空を飛んでくる。
「エクスプローばっかり探して、私の方は構ってくれないのね」
ラートルがそう言ったかと思ったら、ラートルの左腕が伸びた。
「な!? しまっ……」
伸びた左腕の手がアクイラの首をつかんだ。腕が縮んでアクイラはラートルのそばまで呼び寄せられた。
「油断大敵ね」
「ぐうう……」
ラートルはアクイラの首を思った以上に強い力で締め付ける。アクイラですら、この手を振りほどけなかった。
「マスター」
アクイラのファミリア、アルタイルがアクイラを救おうとラートルへと突撃してくる。しかし、その攻撃はフィールドによりラートルまで届かなかった。
「良いファミリアね。でも……」
ラートルが指を鳴らすと、地面から巨大な黒い影がアルタイルをつかんだ。まるで巨大な大きな黒い腕だった。
「く、あ、アルタイル……」
「残念。マーテリアの作った物質みたいみなも特殊なものは除いて、ファミリアの攻撃は本体には届かないからね」
「ぐ、くうう……。こ、この女ぁ」
以外な力でアクイラの首を絞めるラートル。
「あなたと星辰君の恋愛模様をもう少し観察したかったけど、仕方ないわね。ここで
「この、観察だと!?」
「そうよ。なぜ、星辰君とあなたを一緒にテーゲ星に飛ばしたのか知りたい? まあ、そんなにたいしたことじゃあないわ」
ラートルはそう言うと、またフフと笑った。
「星辰君の身の回りに同年代の女の子が一緒にいたら、どんな影響があるか知りたかったのよね。でも、普通の地球人の女の子だと普通すぎて刺激が少ないかもしれない。実際、クラスメートの女の子では、星辰君に特筆すべき変化が無いようだったし」
「それで、アタシを……」
首を絞められ息も絶え絶えになりながらも、ラートルに答えるアクイラ。
「そう、宇宙人で超能力が使える貴方は、この観察にうってつけだったわ。これは妹のウルラちゃんでも良かったけれども、直感的に貴方の方が良いと思ったのよ。観察としては、それなりの成果かしら? それなりに星辰君に影響があった様だしでも、この実験で大きく変わったのは星辰君よりもあなたの方かもだけど」
「!」
「ふふ。星辰君はどうだった。いつも優しかったでしょう? 彼はそう言う風に創られているから……。彼は他人にとっても優しいの……」
「お、おまえ、やっぱり……。星辰の事を知っていたんだな……」
「さて、どうかしら? それより同年代の男の子に優しくされるのは初めてだったの? いつも優しくされて嬉しかった? 優しくされていく内にどんどん好きになっていったの? 安らぎとか感じたのかしら? それで、もう星辰君にぞっこんなんだよね? ふふ、かわいい娘。やっぱり殺すのは少し惜しいかしら……」
ラートルはアクイラの質問には答えず話を進める。アクイラの首は絞めつけたままだ。
「こ、このやろう……」
「あらあら、ごめんなさい。これじゃ、質問に答えられないよね?」
だがラートルはそう言いながら、首を絞めつける力を緩めない。
「だれが、そんな答える訳……」
「そうよね。首を絞めてる相手に答える訳ないよね……。だったらやっぱり殺そうかしら?」
また首を絞める力が増す。
「ぐ、ああ……」
「貴方の死体を星辰君の前に転がしたらどうなるのかな? どんなリアクションかしら? 今から、とっても楽しみね……」
そう言うとラートルはアクイラの首をさらに絞めつけた。