首棚

文字数 372文字

格安物件に引っ越したら、幽霊が出た。

幽霊というか生首。
半ば腐敗してんのか皮膚とかでろんとしてる。
だからちょっと一見しただけじゃ、男か女かわからない。
髪は肩ぐらいまで。
なので髪の長さでも性別はわからない。

真夜中に息苦しくて目を開けたら、胸の上辺りに浮いてた。

「お〜。」

俺はそれを見て一言告げて、寝た。

次の日からは、なかなか主張が激しかった。
家に帰ると電気をつけた瞬間、一瞬目の前に見えた。
冷蔵庫を漁ってていて、閉めたら一瞬、扉の影から見えた。
風呂から廊下に出た瞬間、玄関側の暗がりに一瞬、見えた。

「お〜。」

その度、俺はそちらに顔を向けて一言言った。

ある日、だんだん消えるまでの時間が長くなってきた辺りで俺は言った。

「あんた浮いてて疲れんだろ?棚を作ってやるからそこにいろよ。」

それから幽霊はその棚にいる。
酒とか煙草をやると喜ぶから、多分男だろう。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み