幽霊ポイント
文字数 372文字
残業で遅くなり、淋しげな路地を歩いていた。
そこにぬっと現れる人影。
「恨めしや〜。」
「……今時珍しい登場の仕方ですね、それ。逆に新鮮です。」
幽霊だった。
けれど戸惑いながらブロック塀から顔を出した幽霊は迫力にかけ、怖くも何ともない。
しかも初対面で、恨まれる覚えは一つもなかった。
「すみません。今時の幽霊がどうやって登場して脅かすか知らないんです。」
「いや知らなくてもいいと思いますけど?」
「そうもいかないんです。幽霊が幽霊でいるには、人を驚かせて幽霊ポイントを貯めないといけないんです。」
「向いてなさそうですね?」
「はい。難航しております。」
そう言って恐縮する幽霊。
私は思わず言った。
「というか、成仏すれば幽霊でいる必要がないのでは?」
そう言われた幽霊は「あ!」と声を上げ、恥ずかしそうに微笑みながら消えていった。
幽霊の世界も大変なんだなと思った。
そこにぬっと現れる人影。
「恨めしや〜。」
「……今時珍しい登場の仕方ですね、それ。逆に新鮮です。」
幽霊だった。
けれど戸惑いながらブロック塀から顔を出した幽霊は迫力にかけ、怖くも何ともない。
しかも初対面で、恨まれる覚えは一つもなかった。
「すみません。今時の幽霊がどうやって登場して脅かすか知らないんです。」
「いや知らなくてもいいと思いますけど?」
「そうもいかないんです。幽霊が幽霊でいるには、人を驚かせて幽霊ポイントを貯めないといけないんです。」
「向いてなさそうですね?」
「はい。難航しております。」
そう言って恐縮する幽霊。
私は思わず言った。
「というか、成仏すれば幽霊でいる必要がないのでは?」
そう言われた幽霊は「あ!」と声を上げ、恥ずかしそうに微笑みながら消えていった。
幽霊の世界も大変なんだなと思った。