第11話 決着の一撃

文字数 1,022文字

俺はろんに1発食らわされ、近くの公園まで吹き飛ばされた。たかが1発、しかもあの短い時間での攻撃なのに、体が痛む。

ようやく隠していた能力を色々と出してきたか。実は計画を練り始めた頃から彼のことを調べていたが、全く情報がなかった。データには「能力は軽微な身体強化」とあった。しかし、腑に落ちない。あいつは只者じゃない。それは雰囲気から感じられる。だとしたら、能力の測定器の不具合か?それとも能力を意図的に隠している?条件がないと発動できないから?結局、今日まで答えは分からなかった。

でも、きっと勝てる。俺ならば……。

~~~

先生は公園まで飛んでいった。結構本気で不意打ちを狙ったつもりなのに、彼はもう立ち上がっていた。

窓から飛び降りて公園に着地する。そして、僕は左目の眼帯を外す。そして、青色の瞳があらわになる。ここからは本気でいかないと勝てない。



「まだ謝れば許してやるぞ、ろん。」



そんなことを言われても、もう後には引けない。そして、僕の目的はそこにあるのだから。



「いえ、遠慮させてもらいます。」



「そうか。じゃあ、死ぬ覚悟ができているんだな。」



その瞬間、先生が目の前から消えた。



僕と先生が初めて会った時に使ってきたのと全く同じ技。それは、人間技ではない速さで背後に回って攻撃するものだった。



しかし、左目を開放している今なら、捉えることができる。とてつもなく早い速度で動く先生の姿を。



右側に先生の姿を捉えた。ならば、こちらも能力を使おう。



先生のいる方向に体を動かさず、右手だけを出して能力を発動する。すると、そこに大きな障壁が現れた。先生からはその障壁は見えない。



先生がナイフをこちらに向けて突き刺そうとするが、それは壁に当たって速度が落ちる。しかし、それでも止まることなく、遂に壁を壊し、その先にいた俺の腹に突き刺さった。



しかし、そこにいた俺は白い煙となって空気に消えた。



そして、先生の後ろから僕は渾身の蹴りを入れた。しかし、先生はそれに反応し、腕で受け止めた。



どんな神経してるんだよ……!完全に偽物に騙されていただろ!



先生は片方の手で僕の腹を殴る。その攻撃を避けられなかった僕は、遠くまで吹き飛ばされた。そして、起き上がろうとするが、身体が動かない。おそらく、先生の能力だろう。今まで、僕と同じように隠していたのか。



先生が僕のもとに近づいてくる。



「じゃあな。悪くなかったぞ。」



そう言って彼はナイフを振り上げる。



そして、僕は血を流して草むらに倒れた。
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