第9話 かまきりのこぶん そのいち
文字数 869文字
うすぐらいもりのなかを、ムサシさん、ゆうかちゃん、プーさん、クロさんのじゅんばんであるいています。
「くらいね。」
「やっぱり、こわいよお……」
「ここまできて、じたばたするんじゃねえ、べらぼうめっ。」
そのときです。
「しっ、しずかに!」
とつぜんプーさんが、まえにでました。
「どこへいこうってんだ!」
おおきなハサミをおしりにつけた、はさみむしさんがあらわれました。
「やあ、チョッキン。」
「おまえはプーじゃねえか。」
「かまきりのとこまでいこうとおもうんだがね。とおしてくれないか?」
「ためだっ。ここをとおりたかったら、おれとスモウをとってからにしろ!」
「やいやいやいやい、がやがやいわずに、とおせってんだっ!べらぼうめっ。」
「だめだっ。おやぶんにあいたかったら、おれにかってからにしな。」
どうしてもとおしてくれそうにありません。
「やれやれ、しかたがないな。」
プーさんは、じまんのつのをなでながら、まえにでました。
「おいおいおいおい、プーさん。でえじょうぶかい?べらぼうめっ。」
「こわいから、かえろうよ……」
「なあに、おらはスモウはとくいなんだ。」
「がんばってね。」
「ああ、がんばるよ。」
「おまえがあいてかっ。」
「ああ、そうだ。」
「このまえのスモウたいかいみたいに、またおれにかてるとでもおもってるのかっ!」
「ああ、そうおもってるよ。」
「なにをっ!」
プーさんとはさみむしさんは、スモウをとりはじめました。
「がんばれっ!」
「まけるなっ!べらぼうめっ。」
「こ、こわいけど、がんばれ……」
だ、だーん!
おおきなおとがして、みんながみると、はさみむしさんがころがっていました。
「う、うーん……」
「やったあ!」
「へっ、つええじゃねえか、プーさん!べらぼうめっ。」
「かっこいい……」
「まあね。」
「あ、あ、あいたたた……まいったよ、プーさん。」
「じゃあ、とおらしてもらうよ。」
「いいよ。でも、またこんどしょうぶだぞっ!」
「いつでもいいよ。」
「どんっとこいってんだ、べらぼうめっ。」
「ああ、こわかった……」
こうして、はさみむしさんのところをよにんはとおっていきました。