第7話 ゆうしゃそのさん
文字数 808文字
「わあ、すごい……」
ゆうかちゃんたちは、きらきらやまをこえたところの、おおきなみずうみのそばまでやってきました。
「ここはね、ゆうかちゃん。ひろいみずうみっていうんだよ。」
「へえ、ほんとにひろいね。」
「かまきりのとこへいくには、これをこえなきゃいけないんだ。でも、まわりみちをすると、とってもとおくなるんだよ。」
「おらは、ひとりずつならはこべるなあ、ふたりいっぺんはむりだけど。」
そのときです。
うえのほうから、ぶーんておとがしました。
「よお、どうしたんだい、べらぼうめっ。」
はちさんが、あたまのうえをぐるぐるまわっています。
「やあ、ムサシ。」
「おおっと、クロさんにプーさんじゃないかい、べらぼうめっ。」
はちさんは、すたっとじめんにおりてきました。
「おうおう、どうしたってんだい。こっちのおじょうさんはだれだい、べらぼうめっ。」「ゆうかちゃんっていうんだよ。」
「あたし、ゆうかちゃん。こんにちは。」
「よお、おいらはムサシってんだい、べらぼうめっ。」
ゆうかちゃんは、はちさんのムサシさんのげんきのよさに、びっくりしてしまいました。
「ハハハ、ゆうかちゃん、こわがらなくてもいいんだよ。ムサシはいいやつなんだから。」
「やいやい、いったいひろいみずうみをこえてから、なにをしようってんだい、べらぼうめっ。」
「ああ、ゆうかちゃんのおともだちのピエロのねむちゃんを、かまきりがもっていっちゃったんだ。それで、かまきりのいるくさむらのもりまで、いまからたすけにいくところなんだよ、こわいけど……」
「おいおい、そんなおもしろいことから、おいらをなかまはずれにしようってんじゃないだろうなっ、べらぼうめっ。」
「えっ?」
「ハハハ、ムサシはなかまになってくれるっていってるんだよ、ゆうかちゃん。」
「ほんとっ!ありがとう、ムサシさん。」
「よせやい、てれるじゃあねえか。べらぼうめっ。」
こうして、はちさんのムサシさんまでなかまになってくれました。