第2話 問答無用で暴力的に美味い肉ってあるもんやな。
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いや～なんでも言ってみるものですねえ♪今日は冨井先生のおごりでお肉食べに来ています。黒猫置いて逃げられたときはもう期待できないと思ったんですけど。
まあちょっとあぶく銭が入ったからな。こういうカネはぱーっと使うたろう思たんや。
あ！でも言っておきますけど、高いご飯おごったからといってYをどうにかできるとか思わないでくださいね！！
アホ！ボケ！カスっ！！誰がおどれのような小娘相手にするか！ええ加減にせい。
あはっ♪ごめんなさい・・・でもほら「空手バックパッカー放浪記」ではけっこう女性に弱いというか、だらしないシーンが描かれいましたから。
あれはまだ俺が20代のころの話やで。若気の至りちゅうやつや、堪忍してくれ。そんなことよりほら肉が運ばれてきたで。腹いっぱい食うてや。
はい、ではみなさん失礼していただきます。今日はしゃぶしゃぶです。うわあ～すごく綺麗な霜降りですねえ。
この店は古くから上等な宮崎牛を食わせる老舗やねん。高級和牛といえば松坂牛や神戸牛が有名やけどな、現在日本一美味いといわれる高級和牛は宮崎牛やねん。
へえ～そうなんですか。
総理大臣賞を3年連続で受賞しとるしな、アメリカのアカデミーて映画の賞あるやろ？あれのアフターディーナーのメインディッシュにも3年連続で選ばれたんや。ちなみにこれは史上初の快挙でな、日本一どころか世界一美味い牛肉いうわけや。
なるほど～・・・でもそういう前情報で暗示をかけて実際より美味しく感じさせる作戦には引っ掛かりませんよ。
おごってもらうくせに生意気な奴っちゃな。ほな四の五の言わんと食うてみい。この店は仲居さんが調理して取り分けてくれるスタイルやけど、肉だけは自分でやったほうがええで。煮え過ぎたらもったいないからな。お湯にしゃぶしゃぶっとくぐらせて、薄桃色くらいの加減がベストや。
はい、ではしゃぶしゃぶっとしてもぐっと・・・・！！！
・・・でや？
あ・・・・あ・・・
言葉にならんやろ？
あ・・・はい、すみません。このお肉すごいです。美味しすぎて声が出ませんでした。これが牛肉だとしたら私が今まで牛肉だと思っていたものはなんだったんでしょう？
それはデイリーな牛肉やな。宮崎牛はハレの日の特別な牛肉やから、たとえカネがあっても毎日食べるもんやないで。
正直言うと出てきたお肉を見たとき脂が多くてしつこそうだな・・・と思ったんです。でも全然そんなことなかった・・・口に入れた瞬間からもう美味しさが私を支配するような・・・
それは脂の質が全然ちゃうからや。試しにこれ食うてみ？宮崎牛の刺身や。
生の霜降り肉ですか？肉の脂は魚の脂と違って人間の体温では溶けませんから、口の中でネチャネチャして気持ち悪くなりそうです。
それ、どこぞのグルメ漫画で得た知識やろ？あの作者はしゃぶしゃぶという調理法も肉の味を湯の中に捨てる最低の調理法とか書いてたんやけどな、フランスの有名シェフが「肉をレアで食べる最高の調理法」と絶賛してからはすっかり宗旨替えしたらしいで。ええ加減なもんや。とにかく食うてみい。
うわっ、なにこれとろける・・・まるで上等なバターかクリームみたいに脂が美味しいです・・・
せやろ、某グルメ漫画みたいな理屈やないねん。ほんまに美味い肉いうのは問答無用で暴力的に美味いんや・・・て、ちょっと待て、俺まだぜんぜん食うとらへんのに肉あらへんやんけ！
あら、ごめんなさい。仲居さんすみません、お肉2人前追加お願いします♪
お願いしますって、この店の追加肉1人前8000円・・・・失敗やった・・・Yの食欲をナメとったわ。。
あざーっす！ごちになります♪
