第7話 同期の絆

文字数 431文字

 俺は動揺した。三人とも、彼氏無しでの入社だと思わされてきた。だから合コンもセットした。仲間割れの時は、どちらにもフォローを入れた。俺の財布はずっと軽いままだった。
 解散後もお祝いの金額、礼服をクリーニングに出すタイミング等いろいろ考えた。想い出も去来する。四人での旅行。一つの部屋に泊った。着替える時は追い出されたが、同じ部屋で寝た。もちろん俺は、誰にも、何もしない。視線はそういうところへ一切向かっていなかったとは言い切れないが。
 
 三人で俺を騙していた、と分かるまでに三日を要した。謝られたが、不機嫌をしばらく通した。そして誓った。あいつらより先に結婚してやる。わずかに残っていた、このうちの誰かと……は完全消滅だ。

 いつの間にか元の関係に戻り、俺は本店へと異動した。やがて転職し、出会った女性と結婚した。その後、立て続けに結婚式の招待状が届いた。石井さん、斎藤さん、鈴木さん。みんな、おめでとう。同期の絆は本物だ。ところでこれ、本当の話だよな?


 [完結]
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