第1話 オープニングえぴそーど
文字数 733文字
ある日──。
世界を統べる王様が、世界中の冒険者たちに向けてこう言い放った。
ワシはもうこの年じゃが世継ぎがおらぬ。
次の王になりたい者は北にある最大の塔(ダンジョン)を攻略せよ。
100階全ての階層ボスを倒してクリアした者だけが王になる権利を与える。
こうして。
王様のお言葉により、冒険者たちはダンジョン攻略を目指し、旅が始まったのだった。
ダンジョンにはびこる異形の獣──モンスターは強く、脱落する冒険者一行が続出した。
するとある一人の学者が現れ、こう言ったのだ。
モンスターを食べることで一時的な能力向上効果がある、と。
再び盛り上がる冒険者たち。
発狂する大臣。
こうして、その学者の大発見により、冒険者一行の間で魔物肉を加工した携帯食が流行った。
ある者は塩漬けにし、ある者は肉を乾燥させて干し肉にした。
しかし──
日持ちさせるために携帯食用にされたモンスターの肉では微々たる効果しか得られず、さらにクサイ、マズイ、カタイの三拍子がそろった最悪の食べ物だった。
それでもダンジョン攻略のため、少しでもバフ効果を得ようと冒険者たちは涙をのんでそれを口にしていた。