第3話 思い立ったが吉日なんだろう……。
文字数 1,641文字
ここは国に一つだけしかない唯一の大きな街である。
冒険者はこの街からダンジョンへと旅立ち、そしてダンジョンがひと段落着いたらここに戻るという、そんなマイホーム的な場所。
この街には色んなものがそろっています。
冒険者たちを管理するギルド、アイテム武器防具屋、そして我らが王様が住むお城、そして全ての冒険者が泊まれる宿屋、職業訓練の学校などなど。
大抵のダンジョン脱落組の冒険者たちは、この街の宿屋に転移されてきます。
そう、勇者タロウ率いる冒険者の仲間たちも、みーんなここに転移されたのだった。
あのゲロマズさと臭さと嚙み切れない肉の硬さをどうにかしないと、全然ダンジョン階層攻略が進まないぜ俺たち。
肉のバフ効果は欲しいけど、あのゲロマズさを耐えてまで得られる効果なんてほんと微々たるモンだったし、だからといってバフ無しだと5階層からクリアできねーしな。
あーぁ。ほんと。なんか良い方法ないかなー?
濃厚なコーンスープに採れたて新鮮な野菜サラダ、ジューシーで柔らかい牛肉に上品にかけられたワインのソース。
そこに添えられたカリカリのポテトとオリーブオイルで薄味に炒められた季節の野菜。
自然の野菜の味わいを舌で堪能した後に、ナイフでスッと切れて口の中でとろけるほども柔らかい肉と上品なソースの味わいを口いっぱいに感じながら、白くてふかふか炊き立ての白米をこれでもかってほどに口の中にかき込むんだ……。
ここで何を言ったところで、結局は俺たちが求めているものはバフ効果なんだよなぁ。
好きであんなモンスターの肉を食べている奴らなんて誰もいない。
でも食べなきゃいけないんだよ。
あともう少しで10階層攻略目前だったのになぁ……。
15階層攻略した奴らもいるって聞くし、アイツ等どうやってゲロマズ肉を吐かずに階層を突破してるんだろう。
細かくしないとアイテム袋に持ち運びも出来ないし、細かくしている間に硬くなってすぐ臭くなるし。
携帯食にしないとやっぱり無理だよ、モンスターの肉なんて。
最近、ギルドで出来たらしいんだ。新しいジョブスキルのクラスが。
『調理士』ってクラスらしいんだが、そいつ等のスキルがマジでヤバイらしい。
どんな修行をしたのか知らないが、モンスターの肉をコース料理にする上に、肉も新鮮な状態だからバフ効果もすごいらしいって。
料理については調理士のレベルにもよるだろうけど、ただ……そのレベルが上がっている奴ほど別の問題があるらしいんだが──
ところで、その『調理士』とやらの別の問題とは……?
レベルが高いなら問題なんて無きに等しいと思うが、やはり──